領空開放条約で批准国協議、米離脱へ溝埋まらず
【モスクワ=小川知世】米ロや欧州などは6日、軍事施設を上空から相互に監視できる領空開放(オープンスカイ)条約を巡り、批准国による高官協議を開き、米国の離脱方針を協議した。ロシアによる条約違反を訴える米国と、違反を否定するロシアとの溝は埋まらなかったとみられる。
トランプ米政権は5月下旬、ロシアが一部地域で査察飛行を制限しているとして条約からの離脱を批准国に通告した。
インタファクス通信によると、6日の協議後にロシアのリャプコフ外務次官は「米国の姿勢に変化はなかった」と述べた。ほかの批准国が米国の離脱は避けられないと見なす一方で、ロシアに違反の是正を求めたとして、状況を注視して米離脱への対抗策が必要かを検討する考えを示した。
2002年に発効したオープンスカイ条約は34カ国が批准し、非武装の航空機で相互に軍事施設や紛争地域の様子を撮影できる。米国の離脱は通告から6カ月後の11月下旬に正式に成立する。ロシア側は米国がロシアによる違反を軍備管理条約から離脱する口実にしていると反発していた。