四大法人の監査部門運営独立を 英当局方針、24年までに

金融最前線
2020/7/7 1:23
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【ロンドン=篠崎健太】英国の企業統治の監督当局である財務報告評議会(FRC)は6日、世界規模で事業展開する4大監査法人に対し、グループ内での監査部門の独立運営を求める指針を公表した。不正会計を見抜けないといった問題が相次いだことを受け、監査の質の向上を促す。

英国では相次ぐ企業破綻で「監査の質」に批判が強まった(金融街シティー)=ロイター

運営分離の計画を10月23日までに出すよう各社に求め、一定の準備期間を経て遅くとも24年6月末までの完全実施をめざす。

対象は「ビッグ4」と呼ばれるデロイト・トウシュ・トーマツ、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、KPMG、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の4大グループ。日本を含む各国の監査法人と提携関係を築いており、業務内容は経営や税務のコンサルティングなど多岐にわたる。

英国では企業の大型破綻が相次ぎ、直前まで経営悪化に警鐘を鳴らさなかった監査法人に批判が強まっていた。18年1月の建設大手カリリオンの倒産では、KPMGが決算書に「適正」との監査意見を出し続けていた。最近ではドイツで20年6月、EYが監査してきた決済サービス会社の独ワイヤーカードで不正会計問題が噴出したばかりだ。

FRCの指針は監査部門を財務や報酬の面で、グループ内で独立運営させるのが柱だ。収益性が高いとされる経営や税務コンサルなど他部門に支えられる構造を改め、利益相反を防ぐ狙いがある。会計士の報酬について、質の高い監査への貢献度や監査の複雑さを踏まえて決める仕組みも求める。業務執行を監督する「監査ボード」を監査部門内に設けさせる方針だ。

FRCのジョン・トンプソン最高経営責任者(CEO)は「監査業務の運営分離は企業の財務報告と監査の質、有効性を高める戦略の一要素だ」と述べた。「監査改革の大きな一歩を踏み出した」と強調した。

KPMG英法人の監査部門責任者、ジョン・ホルト氏は「運営分離を支持する」との声明を出し、高品質の監査を提供していくために当局と連携していく姿勢を示した。英政界など一部で要求が出ていたビッグ4の完全な解体分離は見送られたが、4社は組織運営の大きな見直しを迫られる。

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