英政府、5Gでファーウェイ段階的排除 現地報道

2020/7/6 20:27
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【ロンドン=佐竹実】英政府は次世代通信規格「5G」から、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を段階的に排除する方針だ。現地メディアが6日までに一斉に報じた。英政府は1月に同社製品の限定使用を認めていたが、米国の制裁強化を受けて方針を転換する。

英政府のファーウェイに対する不信感が高まっている=AP

報道によると、英政府でネット上の脆弱性などを監視する国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)が近く、報告書をジョンソン首相に提出する。英政府は5Gの基地局などでのファーウェイ製品の使用を、早ければ今年から段階的にやめる方針という。

NCSCは、米商務省が5月にファーウェイに対する事実上の禁輸措置を強化すると発表したことを受け、安全性を再調査していた。米の制裁強化でファーウェイが必要な部品調達をできなくなり、「セキュリティー上の安全を保てなくなった」と判断したという。

英政府は1月、5Gの通信ネットワークのうち基地局などの35%に限ってファーウェイを使うことを認めた。米国から完全排除の圧力があったものの、当時は応じていなかった。英国内の通信会社はファーウェイ製品を既に使用し、全てを交換するのはコスト面で現実的ではないとみていた。

ファーウェイ製品は欧州で広く使われている。価格が比較的安い上、研究開発費がスウェーデンのエリクソンなど同業を大きく上回り、性能も評価されているためだ。独通信大手ドイツテレコムは6月、5G通信網でファーウェイ製品を使用することを明らかにした。

米国の追加制裁は各国に再考を迫った。フランスの国家情報システム・セキュリティ庁長官は6日付の仏経済紙レゼコーのインタビューで、「ファーウェイ製品を使った5G網構築を認めない可能性がある」と語った。認める場合でも3~8年に限るなどエリクソン、ノキア(フィンランド)と比べ不利な条件を課す。ファーウェイ製品を使っていない通信会社に対しては「引き続き採用しないよう促す」という。

英政府が決定を半年で翻した背景には、この間に中国に対する不信感が強まったこともある。

新型コロナウイルスの感染拡大で、英国は4万人強と欧州最多の死者を出した。与党・保守党内には4月、欧州連合(EU)からの強硬な離脱を掲げた「欧州調査グループ(ERG)」に倣い「中国調査グループ(CRG)」が立ち上がった。医療用品など幅広い分野で、中国依存を見直すよう求める声が出ている。ラーブ英外相は4月の記者会見で「新型コロナの危機の後は中国といつものようなビジネスはできない」と述べた。

中国が「香港国家安全維持法」を制定し、香港に対する締め付けを強めたことも影響した。旧宗主国である英国は香港の「高度の自治権」を明記した1984年の中英共同声明を否定する行動を強く批判し、中国に対して厳しい姿勢を取らざるを得なくなっている。

ファーウェイは「安全性に問題は無い」と主張する。英政府が排除に動けば通信会社のコスト負担が増し、次世代技術の基盤となる5Gの普及が遅れる可能性もある。

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