中国半導体企業、2.2兆円調達 米国対抗へ国産化加速
半年で2019年の2.2倍 政府系が支援

2020/7/6 23:00 (2020/7/7 5:27更新)
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米国が仕掛ける「半導体戦争」に中国政府は危機感を持っている

米国が仕掛ける「半導体戦争」に中国政府は危機感を持っている

【上海=張勇祥】半導体の国産化をめざす中国企業が資本調達を急拡大している。2020年の調達額は5日時点で約2兆2千億円と、半年で19年通年の約2.2倍となった。支援の主役は政府系ファンドと19年に開設した新しい株式市場だ。中国のハイテク覇権の阻止を狙う米国に対抗し、生き残りを懸けて半導体の自給率向上を急ぐ。

中国は半導体自給率が10%台半ばにとどまる一方、高いシェアを誇るスマートフォンや次世代通信規格「5G」向け機器は国際的な影響力の源泉になっている。ハイテクでの中国台頭を抑えるために米国が半導体市場から中国を締め出せば、これら機器の生産が難しくなるうえ、米国との覇権争いで脱落しかねない。

日本経済新聞社が中国の民間データベースや企業の開示、メディア報道などをもとに半導体関連企業の株式による調達を集計した。20年の調達額は5日までで約1440億元(約2兆2千億円、払い込みが済んでいない案件も含む)と約半年で19年通年(約640億元=1兆円弱)を大きく上回った。公表案件を積み上げると、過去数年の調達額はおおよそ6千億~1兆円弱だった。

背景には、米国が仕掛ける「半導体戦争(チップウォー)」への中国政府の危機感がある。中国排除を進めるトランプ米政権から18年に禁輸措置を受けた通信機器の中興通訊(ZTE)は破綻の間際に追い込まれた。

華為技術(ファーウェイ)は最先端の半導体の調達に支障を来している。半導体製造装置の一部も輸入が難しい。中央・地方政府は相次ぎ半導体の国産化を目的とした半導体ファンドを設立し、中国企業への投資を本格化している。

14年には政府系の半導体ファンド「国家集成電路産業投資基金」を設立し、19年までに1400億元の投資を終えたとされる。19年秋には第2号ファンドを新設し、20年から投資を本格化。上海市や北京市などもファンドを立ち上げ、中央・地方一体で半導体国産化へ支援を加速させる。

代表例が中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)だ。20年の調達額はグループ全体で1兆円規模にのぼる。

SMICは月内にも中国版ナスダックとされる新市場「科創板」に上場、最大で500億元あまりを調達する。グループ会社は地方政府系ファンドなどから22億5千万ドル(約2400億円)の出資を受ける。世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に代わる存在に育成する狙いだ。

中国はハイテク産業の育成策「中国製造2025」で、半導体自給率を70%まで高める目標を掲げる。米調査会社ICインサイツによると、自給率は24年時点でも2割強の見通し。米中対立が深まるなか、国産化のペース加速が急務だ。

量産や製造装置の分野では、中国の半導体企業の世界との技術力の開きがなお大きい。SMICの技術水準はTSMCと比べ「2世代以上遅れている」との評価も多い。国産化戦略が狙い通りに成果を上げるには、資金面に加えて技術面でも乗り越えなければならない課題が多い。

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