突然の雨に負けない 街に踏み出せ大人のスニーカー
特集 ビジネス向け最新防水シューズ(下)

新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、混雑する公共交通機関を避ける人が増えている。また、在宅勤務による運動不足解消で、以前より長い距離を歩いている人も多いだろう。梅雨や急な雨に備えて用意しておきたいのが、防水シューズだ。今は、防水靴に見えないデザインが主流で、蒸れにくい設計のシューズも多く、使い勝手が良い。梅雨に限らず1年を通して履ける作りとなっている。
今回はそんな防水シューズの中から、休日の街歩きに最適なスニーカータイプを紹介する。注目したいのは大人のカジュアルスタイルに適した品のよいデザインと、スニーカーならではの歩きやすさだ。
一体成型シューズにゴアテックスを搭載

デンマーク発の靴メーカーのエコーは、防水透湿性に優れたゴアテックス搭載スニーカーを数多く展開している。今回紹介するシューズも、同社を代表するアスレジャータイプのスニーカー「ST.1」の軽量モデルに、ゴアテックスを搭載した注目作だ。
ゴアテックスは防水性と透湿性を兼ね備えたメンブレン(膜)。靴のアッパー部分の生地(あるいは生地と生地の間)に圧着することで、外部からの雨水の浸入を防ぐとともに、靴内部の蒸れを軽減する機能を持つ。
アッパーには軽くて強靱(きょうじん)なヤクの革を使用し、パンチング加工を施すなどスタイリッシュに仕上げている。ソールには独自のショックスルーテクノロジーを採用。前に足を押し出すような衝撃吸収性と、柔らかな履き心地を実現しているという。
同社のスニーカーは、アッパーとソールを一体成型しているのも特徴だ。凹凸のある足裏の形を再現し履き心地に優れることに加え、靴自体の強度が増し、すき間からの浸水も防ぐ。
前作からアップデートして20年2月に発売。「2月のST.1シリーズ全体の売り上げは前年同月比186%と好調だった」(エコー・ジャパンのマーチャンダイジング マネージャー関根保男氏)。購買層は20代後半~40代の男性と幅広く、防水シューズの中でもデザインにこだわりを持つ人から支持されているという。

シーンを問わない汎用性の高さが魅力

抜群のクッション性とスムーズな足運びを可能にする、分厚いミッドソールが特徴の米デッカーズ社の「ホカ オネオネ」のランニングシューズ。ランニングカテゴリーの枠を超えてファッションシーンからも注目される同ブランドも、ゴアテックス搭載モデルをラインアップしている。
全路面対応で、トレイルはもちろんロードでも使用できる人気モデル「CHALLENGER ATR 5」をベースに、防水透湿性に優れたゴアテックスファブリクスを採用した本作。アッパーに使用しているヌバックレザーにも防水加工が施されており、水の染み込みを防ぐ。
4ミリの溝が入ったラバー製アウトソールにより、ぬれた路面でも滑りにくい点も特徴だ。クッション性やグリップ力はそのままに、悪天候においても快適な着用を可能にした。ランニング、ハイキング、街歩きなど幅広いシーンで活躍する一足となっている。
デッカーズジャパンのホカ オネオネPR柿崎愛氏も「汎用性の高さが支持を得ている」と話す。1足でマルチユースが可能なため、アウトドアでの着用はもちろんのこと、旅行や出張先でも使用でき、荷物のミニマル化にも役立つとしている。

はっ水レザーを使用したコートシューズ

ビジネスシューズで知られる「スピングルビズ」からは、超はっ水レザーを採用したコートタイプのスニーカーが登場。アッパー表面の水をしっかり弾くことで、靴内に雨水が染み込むのを防ぎ、雨ジミなど靴へのダメージも軽減する。革を染める段階から革組織の奥深くまではっ水剤を染み込ませているため、表面に傷ができてもはっ水効果が持続するという。
ベロと履き口にはスポンジが入っており、フィット感の高い新開発のクラウドフォームインソールにより、足を包み込むような柔らかな履き心地となっている。このインソールは通気性や耐衝撃性も高く、取り外して水洗いも可能。蒸れやすい梅雨時期や真夏も清潔に保てる。
現在人気のコートシューズで、街歩きはもちろんビジカジにも対応。シンプルなデザインをサイドステッチダウン製法とカラーリングで、より洗練されたイメージに仕上げている点も見逃せない。
「20年3月の発売以来、売り上げは好調に推移している」と話すのは、スピングルカンパニー(広島県府中市)の企画部係長の田上秀一氏。上品なデザインで気軽に履ける、大人向けスニーカーを求める30~40代の男性に支持されているという。

(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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