エーザイ、コロナ薬の治験開始 早ければ年内に結果

BP速報
2020/7/6 18:00
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新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(提供:米国立アレルギー感染症研究所)

新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(提供:米国立アレルギー感染症研究所)

日経バイオテク

エーザイは米ピッツバーグ大学医療センターと共同で、中等症の新型コロナウイルス感染症の入院患者を対象に、敗血症治療薬として以前開発を進めていたエリトランの臨床試験(治験)を開始すると、1日に発表した。近く米国で被験者への投与が始まる。今後、米国以外にもグローバルに試験を展開する予定で、早ければ年内に結果が得られる見通しだ。

エリトランは過剰な免疫反応(サイトカインストーム)を抑制し、新型コロナウイルス感染症の重症例で見られる肺をはじめとする多臓器の損傷を防ぐと期待される。

エーザイの広報担当者は、「我々は、細胞や動物を使った実験で新型コロナウイルス感染症に対するエリトランの有効性を確認したわけではない。ただ、過去には、エリトランがインフルエンザウイルス感染による肺炎に有効であることが報告されており、同薬の作用機序から考えても新型コロナウイルス感染症に対する有効性が期待できると判断した」と説明している。

入院中でない人がかかる市中肺炎を対象に、必要に応じて試験方法を変更できる「アダプティブデザイン」の臨床試験が海外で既に実施されており、14カ国から200施設以上の医療機関が参加している。今回のエリトランの臨床試験は、このアダプティブデザインの臨床試験の枠組みの中で新型コロナウイルス感染症が対象の臨床試験として実施される。これは、投与薬剤が実薬か偽薬かを担当医にも被験者にも知らせない「二重盲検法」で行われるランダム化比較試験だ。

具体的には、酸素吸入や人工呼吸器などを使用していない新型コロナウイルス感染症の入院患者を、標準治療に加えてエリトランを投与する「介入群」と、標準療法のみを受ける「対照群」に均等に割り付ける。両群とも400人(介入群は最大で500人)程度を見込んでいる。ただし、「アダプティブデザインの試験であるため、今後、他の治療薬候補を投与する群を追加する可能性がある。その場合は介入群の人数や、対照群との割り付け比が変わる可能性がある」(同社広報)としている。なお、主要な評価項目はエリトラン投与後21日間における臓器不全が未発症の期間とした。

エーザイの広報担当者はエリトラン投与の開始時期について、「詳細は非開示だが、近く米国で投与が開始される見込みだ。その後、国内含めグローバルに試験を展開する予定で、早ければ試験全体で年内に結果が得られると考えている」と説明。国内での参加施設や目標症例数、開始時期については、「規制当局との協議もあるので、現時点では話せないが、検討を進めている段階」(同社の広報担当者)と回答した。

エーザイはエリトランについて、もともとは重症敗血症を対象にした開発を進めていた。しかし、最終段階の第3相臨床試験において主要な評価項目で有効性を示せなかったことなどから2011年に試験を中止。その後、14年には重症敗血症に対する開発を断念した経緯がある。エーザイの広報担当者は、「我々は臨床開発の中止を決めた後も、エリトラン自体の有用性は高いと考えていたため、米国でのIND(臨床試験実施)申請を取り下げなかった。そのため、今回の新型コロナウイルス感染症のように新たな対象疾患が見つかった際に、臨床試験を直ちに開始する準備が整っていた」と話した。

(日経バイオテク 三井勇唯)

[日経バイオテクオンライン 2020年7月2日掲載]

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