中国ライブコマース、経営トップも参戦 600人売り子に

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コラム(テクノロジー)
2020/7/8 2:00
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1日、韓国行きの旅行商品をライブコマースするトリップドットコムの梁会長(左)

1日、韓国行きの旅行商品をライブコマースするトリップドットコムの梁会長(左)

ネットの生中継で商品を売る中国の「ライブコマース」で、経営トップ自ら販売に乗り出す動きが広がっている。新型コロナウイルスで危機に直面した企業が打開策として始めたところ、予想以上の効果があったためだ。中国はコロナ禍のピークを越えたようだが、経営者の出演はライブコマースの有力な手法として定着しつつある。

「アンニョンハセヨ、皆さんこんばんは」。中国の旅行予約サイト最大手、携程旅行網(トリップドットコムグループ)は1日夜、創業者の梁建章会長が韓国旅行を販売するライブコマースを行った。

梁会長は4月にライブコマースへの出演を始め、この日は16回目。毎週水曜夜、その日の旅行先にちなんだ衣装で出演し、割安な商品を自ら売り込むのがお決まりとなった。まだ全面解禁になっていない海外旅行を扱ったのは韓国が初めてで、近く日本特集も流すという。

14回目までの合計で視聴者は延べ約3300万人、流通総額(GMV)は6億元(約91億円)に達した。トリップドットコムの業績は相次ぐキャンセルで大打撃を受けているが、会長が前面に立ち、社員の士気を高めている。

政府系機関の中国インターネット情報センターによると、中国のライブコマースの利用者(3月)は2億6500万人。スマートフォンでネット通販を使う人の4割近くを占める。コロナ危機下でライブコマースが定着した結果、トップセールスもジャンルのひとつとして確立したようだ。

この手法は「経営トップがSNS(交流サイト)上でコロナ対策の悩みを相談しあうなか、手探りの結果として生まれた」。中国のネットマーケティングに詳しいクロスボーダーネクスト(東京・新宿)の何暁霞・最高経営責任者(CEO)はこう解説する。

当初はトリップドットコムのようなネット企業が苦肉の策として始めたが、その成功を見たメーカーが参入。中国を代表する女性経営者である家電大手、珠海格力電器の董明珠董事長までが登場し、産業界全体の動きに広がった。

中国最大級のネット通販セールが行われた6月18日には、主なネット通販サイトが経営トップの専門コーナーを開設。アリババ集団の「天猫(Tモール)」が設けた「総裁来了(総裁が来た)」では、この日に600人ものトップがライブコマースを行ったという。

この手法は「商品・サービスへの思い入れが強すぎ、説明が客観性を欠く」(何CEO)などの弱点もある。しかし、トップ自らが売り子を務めてまで経営危機を乗り切ろうとする覚悟は評価していい。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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