バフェット氏、1兆円で天然ガス輸送事業買収

2020/7/6 7:44 (2020/7/6 10:57更新)
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オンライン株主総会で発言するバフェット氏(5月2日、ネブラスカ州オマハ)=ロイター

オンライン株主総会で発言するバフェット氏(5月2日、ネブラスカ州オマハ)=ロイター

【ニューヨーク=宮本岳則】著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイは5日、米ドミニオン・エナジーから天然ガス輸送・貯蔵事業を買収すると発表した。有利子負債を含めた買収総額は97億ドル(約1兆380億円)。バークシャーとしては新型コロナウイルスの感染拡大以降、初の大型買収となる。

バークシャー傘下のエネルギー事業子会社、バークシャー・ハザウェイ・エナジーを通じて買収する。ドミニオンから約7700マイル(約1万2400キロメートル)のパイプラインや、大型の貯蔵施設を取得する。天然ガスの生産に応じて安定的に稼ぐビジネスだ。

対価として40億ドルを現金で支払うほか、57億ドル相当の負債を引き継ぐ。バークシャーのエネルギー部門は発電や送配電事業などを手掛けており、今回の買収で収益源の多角化を図る。

ドミニオンは天然ガス事業を大幅に縮小する。バークシャーへの事業売却のほか、米東海岸の天然ガスパイプライン案件「アトランティック・コースト・パイプライン」計画からの撤退も公表した。州政府の計画承認を巡り、環境訴訟が相次いでいた。

エネルギー企業は環境保護団体や機関投資家から、気候変動対応を求められ、事業構成の見直しを迫られている。ドミニオンは「2050年までに二酸化炭素の純排出量をゼロにする」とし、再生可能エネルギーに投資する考えを示した。一方でバークシャーの投資は世界の潮流から見て「逆張り」とも言える。

バークシャーにとっては、16年に買収総額372億ドルで傘下に収めた金属部品メーカー、プレシジョン・キャストパーツ以来の大型M&A(合併・買収)だ。バークシャーは利益の安定成長を目指し、事業会社の買収を戦略的に進めている。

バフェット氏もたびたび「エレファント級(巨額)の買収を狙っている」と語っていた。ただし未公開株(PE)ファンドなどとの競合で、対象会社と買収価格で折り合えず、大型買収から遠ざかっていた。

バフェット氏の投資行動は新型コロナのまん延以降、「買い」よりも「売り」に注目が集まっていた。5月上旬の年次株主総会では保有していた米航空株について「需要は元に戻らない」との見方を示し、全て売却したことを明かした。

一方、新規の大型買収については「魅力的な投資先がない」と述べ、慎重姿勢をにじませていた。株主総会後には保有する米金融大手ゴールドマン・サックス株の8割を手放したことも公表している。

今回の大型買収はバフェット氏の後継者候補でエネルギー部門を率いる、グレッグ・アベル副会長が主導したとみられる。アベル氏は5月の株主総会で初めてバフェット氏の横に座り、「バークシャーのユニークな事業構造は価値を生んでいる」と述べ、事業会社を傘下に多数抱える複合企業(コングロマリット)を志向する考えを示した。総額1370億ドルに膨らんだ現金・同等物の使い道に注目が集まる。

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