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フィリピン、「反テロ法」成立 当局の権限拡大に批判も

【マニラ=遠藤淳】フィリピンのドゥテルテ大統領は3日、軍や警察など治安当局の権限を拡大する「反テロ法」に署名し、成立させた。強権的な統治を加速し、反政府勢力の摘発を強化する。令状なしで長期間の逮捕・拘留が可能で、人権抑圧につながるとの批判が出ている。

ロケ大統領報道官が、ドゥテルテ大統領が署名したと記者団に明らかにした。法律は6月上旬に議会を通過しており、同氏の署名を受け、公布から15日後に発効する。ロケ氏は「テロとの戦いには包括的な対策が必要であり、反テロ法は我々の強い決意を示すものだ」と述べた。

反テロ法は従来の「人間の安全保障法」に代わって制定された。治安当局が裁判所から令状の交付を受けずに容疑者を逮捕、拘留できる期間を14日間とし、10日間延長できると定めた。従来は最長3日で、同国憲法は戒厳令下でも3日に限定している。テロ容疑者の摘発で強大な権限が当局に与えられることになる。

摘発の対象も拡大。テロ行為を共謀して実行した者とする従来の範囲から、テロ行為に直接関わらなくても、あおったり、組織に勧誘したりした者などを含めた。最高刑は従来の禁錮40年から終身刑に重くした。

フィリピンでは反政府勢力によるテロが散発的に起き、政府軍との衝突が続く。17年には南部ミンダナオ島でイスラム過激派による大規模な武装蜂起が起き、1千人以上が死亡。最近では同島で6月下旬、共産党系の武装組織が国軍部隊を襲う事件があった。政府は反テロ法でこれらの勢力の掃討を強化する考えだ。

だが、テロの定義が広いことなどから人権抑圧につながるとの懸念が広がる。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは3日、「政権は国家の敵と見なせば、いかなる勢力でも仕留められる武器を手に入れた」との声明を発表。ヒューマン・ライツ・ウオッチは「政府に対して声を上げる人々を狙い撃ちにでき、フィリピンの民主主義は暗黒時代に入った」と非難した。国内の報道団体なども相次ぎ批判声明を出した。

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