東日本大震災の伝承・追悼施設、福島県で相次ぎ開所

2020/7/3 18:14
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福島県で東日本大震災に関連した追悼・伝承施設の開所が相次いでいる。双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」は今秋の開館が固まり、隣接地で整備中の福島県復興祈念公園も同時に一部の利用が始まる見通し。5月にはいわき震災伝承みらい館(いわき市)がオープンした。県は修学旅行のほか、被災地を訪ね歩く「ホープツーリズム」の新たな拠点になると期待している。

今秋に開館予定の東日本大震災・原子力災害伝承館(福島県双葉町)

双葉町の伝承館は炉心溶融事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所の北側約3キロにある。3階建てで延べ床面積は約5300平方メートル。国の補助を受け、県が53億円で整備した。

7月に開幕を予定していた東京五輪に合わせて開館する予定だったが、五輪延期と新型コロナウイルスの感染拡大で先延ばしされた。県は今秋のなるべく早い時期に開館する方針だ。

展示場は6つのゾーンに分かれ、大型スクリーンの映像などで原発災害をはじめ住民の避難に関する状況、原発を誘致した経緯などを紹介する。

もともとアーカイブ(記録の保管)施設として計画されたため、自治体のメモや公文書、被災者の手記など約24万点の資料を収蔵している。それらを生かした研究を進め、修学旅行などの教育旅行のほか、企業の危機管理に向けた研修なども受け入れる予定。

「地震、津波、原発事故という前例のない複合災害について幅広い人に伝えたい」(県企画調整部)としている。

災害伝承館の海寄りの隣接地では、約50ヘクタールの敷地に県が復興祈念公園を整備している。その中心部には今後、国が震災の追悼・祈念施設を建設する予定だ。

公園全体の完成時期は決まっていないが、県は災害伝承館の開館に合わせて、同館に面した約2ヘクタールの供用を始める。双葉町が住民サービスや産業振興のため開設予定の双葉町産業交流センターにも近く、新しい人の流れが生まれる見通し。

震災による津波被害を受けたいわき市は5月、震災伝承みらい館を開館した。災害にまつわる映像放映や資料展示のほか、語り部による被災地案内も受け付けている。

福島第1原発に近い富岡町には、東電が2018年に開館した東京電力廃炉資料館もある。県は「ホープツーリズム」の振興を掲げ、震災にまつわる場所や関連施設だけでなく、地元の街や観光地も幅広く旅行者に訪れてもらいたい考えだ。

足元ではコロナ禍で人の往来は低調だが、県は災害伝承館や祈念公園が将来の受け入れの中核になるとみて、巡回ルートづくりや認知度の向上に力を入れる。

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