長野県、コロナ対策条例が成立 観光業界から歓迎の声も

2020/7/3 16:49
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長野県議会は3日、「長野県新型コロナウイルス感染症等対策条例」を可決し閉会した。新型コロナ等の感染症が拡大したときに、県が実施する対策の手続きなどを定めた。条例制定を巡っては「時期尚早」などの批判もあったが、新型コロナで大きな影響を受ける観光業界からは歓迎する声も上がる。

条例の必要性について、あらためて説明する阿部知事(3日、長野県庁)

条例では、新型コロナ等がまん延する恐れがあるときに、対策本部を設置して各種対策を実施すると定める。ポイントの1つが、感染拡大地域との「人の往来を誘発する施設」に対し休業を検討するよう協力を求めることができるとしている点だ。条文には明記していないが、観光・宿泊施設を念頭においている。

国の特別措置法では、観光・宿泊施設は休業要請の対象に含まれていない。だが多くの観光地を抱える長野県には、全国から多くの来訪客が訪れる。感染拡大を助長しかねないことから、県として休業を求める必要があるとの考え方だ。特措法上の「要請」ほどは強くない依頼で、従わなくても罰則はない。

国が4月に緊急事態宣言を出したときは、県独自の判断として、観光・宿泊施設に休業協力を依頼した。実質的な私権制限につながりかねない措置を、法令や条例の裏付けなしで実施した格好となった。今回の条例制定は、感染拡大時の対応をあらかじめ示し、それに法的根拠を持たせるという意味がある。

「法令や条例の枠組みの中で、適切な行動をとっていく必要がある」。議会閉会後の記者会見で、阿部守一知事はあらためて強調した。感染の「第2波」がいつ来るかわからない状況のなか、拙速との批判を浴びつつも早期成立させた。

宿泊・観光業界からは、条例を好意的に受け止める声が上がる。長野県旅館ホテル組合会の中村実彦会長は「休業するかどうかの判断を現場に委ねられるのは厳しい。(県が休業を判断するというのは)我々としても助かる」と歓迎する。

ただ業者が休業依頼に応じるのは「見返り」を期待してのことでもある。4月の休業依頼では、応じた事業者に「支援金」として30万円が支給された。条例では、経済活動に影響を受ける事業者に「経済的な支援その他の必要な措置を講ずる」とするが、具体的な内容は定めていない。

県財政の状況は厳しく、「第2波」以降も事業者を納得させるだけの経済支援策が打ち出せるかわからない。条例で法的根拠は持たせたものの、対策が実効性を伴うかは不透明な面もある。(畠山周平)

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