レジリエントな企業を探すには(編集長コラム)

2020/7/3 20:00

3日の東京株式市場で、株価の上昇が大きく目を引いた企業がありました。石川県に本拠を置くドラッグストア、クスリのアオキです。一時、前日比13%上昇し、2年ぶりの高値を更新しました。

直接のきっかけは前日発表した2020年5月期連結決算でした。6月の既存店売上高の伸びが鈍り、株価はいったん軟調になっていましたが、勢いを取り戻したのはいくつか理由がありそうです。

コロナ危機のさなかにありながら、前期決算は連続で増収増益を達成。売上高も純利益も2割近く増えました。直近の3~5月期は粗利益率も前の四半期に比べてやや改善しています。

21年5月期の営業利益はほぼ横ばい、純利益は前期比5%減という見通しを開示しましたが、会社のメッセージがより強く出ているのは、年間配当の方針かもしれません。前期は2円増配の年20円、今期は前期比で2.5円増やし、年22.5円にすると開示しました。

連続増配の意思表示には、成長し続けるというトップの意志がにじんでいるようです。

北陸エリア最大手のドラッグストア、クスリのアオキは生鮮品などの品ぞろえも強化している(金沢市)

北陸エリア最大手のドラッグストア、クスリのアオキは生鮮品などの品ぞろえも強化している(金沢市)

石川県金沢市に本拠を置くクスリのアオキは北陸エリアで最大手のドラッグストアチェーンです。最近は関東、東海、東北エリアにも出店を広げ、競合大手と競り合っています。イオンと提携した後も、一定の経営の独立性を保ち、地域に根ざした個々の店の強さを発揮し、チェーンの競争力に磨きをかけてきました。北海道を本拠とするツルハホールディングスや九州本拠のコスモス薬品など、強いドラッグストアは地方勢が多いのが特徴です。激しい販売競争を経て培ってきた強靱さは、コロナ危機で個人消費が揺らぎ、影響を免れない小売業界にあっても、相対優位を保つ要因の1つといえそうです。

ゴールドマン・サックス証券が東証1部上場企業を調べたところ、前期を増配とした企業が41%、配当維持としたところが40%だったそうです。減配・無配が19%でしたので、コロナ危機前に決算を終えた12~2月期企業が含まれていることを考慮しても、苦境の中で安定配当を保とうとした企業は意外と多かったといえるかもしれません。今期の増配を表明した企業は204社(11%)もありました。

マスクを着け歩く人たち=2日午後、東京・原宿の竹下通り

マスクを着け歩く人たち=2日午後、東京・原宿の竹下通り

東京都内で感染者が再び増加に転じるなど、感染第2波が広がるかどうか予断を許さない状況が続いていますが、コロナ耐性の強い企業は、持ち前の機動力で逆境を切り抜けようとしています。

日経ヴェリタス7月5日号の巻頭特集は「リベンジ消費 争奪戦」として、コロナ危機を乗り越えようとする消費関連企業の強みを探りました。同じ業態の中でも、リアルの店舗網やデジタル対応力などで、明暗が分かれつつあります。

新型コロナウイルスの封じ込めが長期戦になるのであれば、「強い企業」のとらえ方は各業種で変わっていきそうです。7月のヴェリタスでは、様々な角度から「強い企業」の条件を探っていきます。次号もご期待ください。

(日経ヴェリタス編集長 塚本奈津美)

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