別府・つるみ観光社長「安心追求の経営、旅館鍛える」
withコロナ 変わる経済

2020/7/4 2:00
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新型コロナウイルス禍は大分県の主要産業である観光業にも大きな影響を与えている。緊急事態宣言解除を受けて営業を再開する宿泊施設はウィズコロナの経営を模索中だ。代表的な温泉地、別府市で「べっぷの宿 ホテル白菊」を運営する、つるみ観光の西田陽一社長は「安心確保を大前提に業務プロセス改革をより踏み込んで進め、会社を強くしたい」と話す。

つるみ観光の西田陽一社長

つるみ観光の西田陽一社長

――県の調査で、延べ宿泊者数(速速報値)は4月が前年同月比84%減、5月も89%減と厳しい状況です。

「県から宿泊施設への休業要請はなかったが、多くの旅館やホテルが大型連休中も含めて営業を自粛した。その余波で、経営に苦労している事例が別府でも目立つ」

――理事長を務める大分県旅館ホテル生活衛生同業組合は県と共同で、宿泊施設で実施することが望ましい感染症対策の「チェックリスト」を4月に作りました。

「専門家の意見も採り入れて、宿泊客の安心を担保するための取り組みを可視化した。これからの旅館・ホテルの経営は安心安全が基本になる。それを実践するため日々の業務を工夫すれば、必ず企業体質の強化につながる。コロナ禍を大きな転換点にできる」

――ホテル白菊は6月12日、ほぼ2カ月ぶりに営業を再開しました。

「現在も火~木曜は休みだ。通常営業への復帰は7月後半だろう。団体旅行客に依存するのではなく、個人・グループ旅行客を主軸とした経営へと脱皮することが本当に重要になる。当社は2年前から業務改革を進めて生産性を約25%引き上げたが、取り組みを一層加速したい」

「べっぷの宿 ホテル白菊」外観(6月、大分県別府市)

「べっぷの宿 ホテル白菊」外観(6月、大分県別府市)

――具体的には。

「現在は外注している客室清掃を8月から自分たちでやる。業務改革に伴い、部屋にはコップとハンドタオルだけ置き、カミソリや綿棒などは大浴場にそろえる方式に変えた。浴衣も必要なサイズを宿泊客に尋ね、求められれば好みの硬さの歯ブラシと一緒に届けている。無駄の排除と顧客満足は両立できる」

「料理は出来たて・作りたて・焼きたての提供を徹底する。宿泊当日に県内で水揚げされた鮮魚を調理して出す試みも始めた。臨時休業中に料理人と市場に足を運び、新たな調達ルートを築きつつある。定番である『関あじ』やカンパチなどとは違った味を求める宿泊客の需要を取り込みたい。館内にある、ミシュランガイドで2つ星の日本料理店による朝食の提供も今秋をメドに始める」

――数値目標は。

「売り上げが従来より2~3割減っても利益が出る体質を目指す」

――国や県など行政への要望はありますか。

「2016年の熊本地震後は観光復興支援『九州ふっこう割』のおかげでV字回復できた。今回も国の『Go To キャンペーン』のほか、自家用車・レンタカーや鉄道、バスなどを利用する県外客の誘致策に期待している。それに加え、旅に出ることを後押しするメッセージを発信してほしい。『感染予防はこうした点に気をつければ大丈夫だ』といった感じだ。人々に動いてもらえば、日本全国が元気になる」

(聞き手は大分支局長 松尾哲司)

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