リニア準備工事、静岡県が認めず JR東海に通知
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静岡県は3日、リニア中央新幹線の静岡工区の未着工問題に関し、準備工事の再開を認めない方針をJR東海に文書で通知した。同社が6月29日、準備工事の可否について質問状を送っていた。同社は2027年の開業は6月中に準備工事を再開することが条件としており、開業延期は避けられない情勢だ。
同社が求める準備工事は、作業基地のトンネル入り口周辺の整地や森林伐採などを対象としている。6月26日の金子慎社長と川勝平太知事の会談で協議した工事再開の条件を再確認するため、静岡県に質問状を送っていた。
県の回答文書では、工事再開を認めない理由として、JR東海が再開を求める工事が「(本体工事にあたる)トンネル掘削工事の一部」であることを挙げた。掘削による大井川の流量減少問題は「国の有識者会議で環境影響に関する検討が行われている」と指摘し、着工に必要な手続きである事前協定を結ぶ段階ではないと明記した。
文書は難波喬司副知事からリニア専任担当の宇野護副社長に宛てて送った。難波副知事は3日記者会見し、「対話に時間を要しているのは、JR東海が(環境影響などについて)専門家でも分かりにくい説明を続けているからだ」と批判した。