シンガポール政府、野党に偽ニュース対策法を適用

2020/7/3 0:20
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【シンガポール=中野貴司】シンガポール政府は2日、偽ニュース・情報操作対策法に基づいて、野党「ピープルズ・ボイス」と同党のリム・ティーン党首に訂正命令を出した。シンガポールは10日に投開票される総選挙の選挙運動期間中で、立候補者に対する初の適用となる。

外国人の活用や雇用問題はシンガポールの選挙戦の争点の1つとなっている(写真は1日に放映されたテレビ討論会)

対象となったのは、ピープルズ・ボイスのフェイスブックやティーン氏の動画投稿サイト「ユーチューブ」への投稿。ティーン氏らは「外国人に無料の教育機会を提供するため、多額の資金を使っている」と主張していた。政府は「大多数の外国人学生はシンガポール人の学生よりも高い授業料を支払っている」として、投稿を虚偽だと認定した。

ティーン氏は2019年12月にも同様の内容で訂正命令を受けている。ティーン氏は今回の総選挙にジャラン・ベサール選挙区から立候補している。

シンガポールの一部の国民には外国人が雇用機会を奪っているとの意識が根強くあり、外国人の雇用や移民政策は今回の総選挙の争点の1つになっている。新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化で、国民の失業率が高まることが見込まれており、野党は外国人材の受け入れや活用を与党・人民行動党(PAP)の攻撃材料にしている。

政府はシンガポール人の雇用や教育に関する与野党の論戦に神経をとがらせている。2日には人材開発省が前日の野党、シンガポール前進党幹部のテレビ討論の発言を「不正確だ」とする声明を出した。この幹部はシンガポール人の専門職や幹部人材10万人が失業したと主張していたが、実際の失業者は3万9千人に過ぎないと説明した。

19年10月に施行した偽ニュース対策法は、所管の閣僚が虚偽と判断したネット上の情報に対し、訂正や削除を命じる権限を持つ。地元紙によると政府は、選挙期間中は各省庁の事務次官が閣僚に代わって、訂正命令を出す権限を持つと公告した。

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