米雇用、緩やか回復 感染拡大で失業率高止まり懸念

2020/7/2 22:00 (2020/7/3 0:27更新)
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失業保険の申請手続きに並ぶ人々(米ケンタッキー州)=ロイター

失業保険の申請手続きに並ぶ人々(米ケンタッキー州)=ロイター

米労働省が2日発表した6月の雇用統計は、失業率が緩やかに持ち直した。米国では新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、雇用の受け皿である飲食業や小売業の再生は一段と遠のくリスクもある。2桁近い高失業率のまま、11月の大統領選に突入する可能性がある。

新型コロナが深刻化した米経済では、失業率が4月に14.7%まで上昇し、大恐慌直後の1940年以来の水準に悪化した。5月は13.3%に低下し、6月も11.1%と段階的に持ち直している。

ただ、日本は5月の失業率が2.9%、ユーロ圏は同7%台にとどまっており、米国の雇用情勢の悪化が際立つ。短期的に失業率が急上昇したのは、米産業界では再雇用に道を残して一時的に労働者を解雇する「レイオフ」が主流だからだ。4月には失業者が2300万人まで急増したが、そのうち78%は半年以内に再雇用の可能性がある「一時解雇」だった。

トランプ米大統領は「米国史上で最高の復活をなし遂げる」と雇用のV字回復を期待する。経済活動の封鎖解除で飲食店などの営業が再開し、再雇用の動きが始まったためだ。

ただ、そのシナリオは簡単ではない。最大の理由は新型コロナの感染再拡大だ。4月に雇用者が580万人も減った飲食業は、5月、6月で一転して就業者が持ち直した。ただ、感染者の増加でフロリダ州やテキサス州などでは、飲食店の営業を一部で再び停止。レストラン予約サイト「オープンテーブル」のデータでは、回復していた両州とも飲食店の客足は5割以下に再び落ち込んだ。ニューヨーク州も飲食店の店内営業の再開を延期するなど、経済活動はもたつきが目立つ。

連邦政府の雇用支援策も、持続力を問われる。米政権と議会は40万人の従業員を抱える航空業界向けに250億ドルの給与維持策を発動したが、期限は9月末までだ。アメリカン航空は10月以降、管理部門の3割を削減すると表明しており、ユナイテッド航空なども雇用圧縮で追随する。

高水準の失業率が続いている(失業保険の申請に並ぶ人々)=ロイター

高水準の失業率が続いている(失業保険の申請に並ぶ人々)=ロイター

米連邦準備理事会(FRB)は10~12月期時点の米失業率を9%台と厳しく予想する。戦後、これほどの高失業率で大統領選に突入したケースはない。雇用情勢の悪化は現職大統領に不利に働きやすく、再選を果たせなかったフォード、カーター、ブッシュ(父)3氏は、それぞれ7%台の高失業率が選挙時の大きな逆風となった。

今回はとりわけ共和、民主の勢力が拮抗する激戦州で雇用悪化が目立つ。カジノなど娯楽産業の雇用悪化でネバダ州は5月の失業率が25.3%と高止まりする。自動車など製造業が集積するミシガン州も同21.2%と高い。11月の選挙戦を決するとされるフロリダ州も14.5%と全米平均より高く、この3州ではバイデン氏の支持率がトランプ氏をリードする。

トランプ政権と連邦議会は既に3兆ドルの財政出動に踏み切ったが、雇用立て直しへ追加策を再び検討する。政権内には雇用の大きな受け皿となるインフラ投資案もあるが、コロナの感染拡大が止まらなければ建設投資そのものに着手できない。「経済の再封鎖はダメージが大きい」(ムニューシン財務長官)と主張するが、コロナ危機と雇用危機が同時に再び強まる懸念もある。(河浪武史)

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