日立、ABB送配電事業の買収完了 東原社長「真のグローバル企業に」

2020/7/2 18:56
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日立製作所によるスイス重電大手ABBの送配電事業の買収が完了した。日立が成長の軸に据えるIT(情報技術)との相乗効果も見込める送配電分野で世界首位の事業基盤を迎え入れ、原子力などが主体の電力事業の転換を急ぐ。2日の会見で東原敏昭社長は、これまで手薄だった「中東や中南米の市場にもリーチできる」と語り、ITなどの他分野での顧客基盤拡大への期待を込めた。

日立製作所は2日、オンラインで会見を開いた

「日立全体を真のグローバル企業に飛躍させる素晴らしいアセットだ」。東原社長は会見でこう強調した。今回の買収に日立は負債の引き受けも含めて1兆円超の費用を投じた。約3万6千人の新たな従業員が加わり、グループ従業員の外国人比率は初めて5割を超える。

買収したABBの事業は、変圧器や高圧直流送電(HVDC)システムなど送配電関連の装置や制御システムなどで世界首位の製品を多く抱える。売上高は19年実績で100億ドル(1兆700億円)弱と、19年度に約4千億円だった自社の事業を大きく上回る。「再生可能エネルギーが伸長するなか、電力の需給コントロールが課題だ。今後は送配電は重要になる」(東原社長)。送配電は従来、日立の電力事業の売り上げの約1割にすぎなかったが、買収で事業モデルを大きく転換する。

ただ日立の狙いは送配電だけではない。期待するのがABBの強い製品群が抱える世界90カ国、1万5千社に及ぶ顧客基盤だ。電力会社だけでなく、鉄道会社や資源大手などの多業種の顧客との接点となる約4千人の営業部隊も今回、グループに加わった。

「ABBが強いのはOT(制御・運用技術)の部分だ。日立が持つ経営を最適化するITシステムなどを含めた提案が可能になる」(西野寿一副社長)。日立が成長のエンジンと見込むIT事業だが、売上高の海外比率は19年度実績で26%と、5割弱の全社に比べても低い。ABBが全世界に張り巡らせた営業網を使い、あらゆるモノがネットにつながる独自のIoT基盤「ルマーダ」の拡大につなげたいとの狙いだ。

同日、西野副社長は「24年には企業価値を買収時の2倍にしたい」との意気込みを語った。実現は送配電事業の拡大だけでは難しい。いかにルマーダをはじめとするIT事業との相乗効果をグローバルで発揮できるかが、巨額買収の成否を分けそうだ。

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