アフリカ、遠のく自由貿易大陸 コロナでFTA延期

2020/7/2 19:00
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アフリカ全体を共通市場にするアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)構想が足踏みしている。新型コロナウイルスの感染拡大で、7月1日の予定だった運用開始が2021年以降に遠のいた。単一市場づくりのもたつきは、域内のつながりの弱さといったアフリカ経済の課題を映す。

域内の供給網づくりが課題に(ナイジェリアの貨物港)=ロイター

「国境でトラックが40~50キロも行列しているのに、7月1日から始めるとは言えない」。AfCFTAのワムケレ・メネ事務局長は6月11日、開始は早くとも21年1月以降との見方を示した。ロイター通信が伝えた。

アフリカ連合(AU)の55カ国中、エリトリアを除く54カ国が署名した自由貿易圏に待ったをかけたのは、新型コロナだ。感染対策で各国が移動制限を決め、国境閉鎖で隣国との物資の往来に目詰まりが起きた。医療体制の弱さも響き、感染症が大陸全体の取り組みを停滞させている。

経済統合はかねての課題だが、アフリカの構造的な問題は解消されていない。まず、鉱物などの天然資源を付加価値の低いまま輸出する1次産品頼みの国がなお多い。資源は欧州や中国で価値の高い製品に加工され、アフリカに輸出される。域内の供給網づくりはなかなか進まない。

アフリカ諸国の輸出額に占める域内向けの比率は2割に満たない。欧州連合(EU)の6割台、アジアの5割台に比べ、域外への依存度の高さが際立つ。

物流網の整備が追いついていないのも弱みだ。広大な大陸を結ぶ高速道路や港湾は建設の途上だ。アフリカの国同士を航空便で移動する際は「欧州やペルシャ湾岸を経由する方が便利な場合がいまだにある」(日本企業関係者)。

脆弱なインフラや不安定な政情、政府の腐敗が懸念される国では、企業活動も慎重になる。国連貿易開発会議(UNCTAD)の19年の報告によると、アフリカへの海外直接投資(FDI)はアジアの10分の1にすぎない。

AfCFTAが実現すれば、人口12億人の巨大経済圏になる。既に西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)や南部アフリカ開発共同体(SADC)、東アフリカ共同体(EAC)などブロック別には経済統合の試みが進むが、大陸を一体として事業を展開しやすくなる。日本企業が南アフリカの工場で生産し、無税でナイジェリアやケニアに輸出するといった可能性が開ける。

経済協力開発機構(OECD)は5月、AfCFTAの始動でアフリカは「将来の危機に対し経済的な強じんさを増す」と期待感を示した。経済統合が大きな可能性を秘めるのは確かだが、積年の課題を乗り越えるには息の長い取り組みが必要になりそうだ。

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