世界の観光収入、130兆円の損失、国連試算

2020/7/2 18:00
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【ジュネーブ=細川倫太郎】国連貿易開発会議(UNCTAD)は2日までに、新型コロナウイルスの影響で観光産業は少なくとも計1兆2000億ドル(約129兆円)の収入を失うとの報告書をまとめた。世界の国内総生産(GDP)の1.5%に相当する。宿泊や飲食などの雇用への打撃は深刻になりそうだ。

「水の都」と呼ばれる世界有数のイタリアの観光都市ベネチアは閑散としている=ロイター

世界の観光は外出規制や入国制限などでほぼ停止状態となっている。報告書によると、仮にこの状況が8カ月間続けば損失は2兆2000億ドル、12カ月間となれば3兆3000億ドルに拡大すると予測。多くの人が海外旅行に不安があり、経済の悪化で旅行をする余裕もなくなっているとみる。

国別では米国の打撃が最も大きく、次いで中国、タイ、フランスと続く。ジャマイカやクロアチアは観光への依存度が高く、少なくともそれぞれGDPを11%、8%も押し下げる。

観光は宿泊や飲食、レジャーなど幅広い業種と関係し、雇用の受け皿となっている。報告書では国際観光収入が100万ドル失われるごとに、国民所得は200万~300万ドル減るとも分析した。UNCTADは「打撃が大きい国の政府は、労働者の保護の強化が必要」として転職支援などを求めた。

一部の国は観光客の受け入れを再開し始めたものの観光客の動きは鈍い。観光業がGDPの約13%を占めるイタリアは、夏の観光シーズンに向け、6月3日から欧州連合(EU)域内などからの入国制限を解除した。ただ、例年は買い物客らでにぎわうミラノの目抜き通りは地元住民の姿が見られるだけで、外国人観光客はほとんどいない。観光客の送り出し大国である米国やドイツでは再び感染が拡大している。

国連の世界観光機関(UNWTO)は12月まで渡航禁止措置などが続いた場合、2020年の世界の観光客は前年比で最大約8割減になると予測する。1950年以降で最大の減少幅となり、1億2千万人の雇用が危機にさらされると警鐘を鳴らしている。

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