中国5県の景況感、最大の悪化幅 日銀6月短観

2020/7/1 20:30
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日銀が1日発表した中国5県の6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が全産業でマイナス31となった。前回(2020年3月)から30ポイント低下し、6四半期連続で悪化。リーマン危機後の09年12月以来約11年ぶりの低水準で、悪化幅は1974年の調査開始以来最大だ。新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞が浮き彫りとなった。

業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。全国の全産業DIは27ポイント悪化のマイナス31。製造業が集積していることもあり、中国5県での落ち込み幅は全国を上回った。

製造業と非製造業を合わせた全27業種のうち26業種でDIが悪化。石油・石炭製品は横ばいだった。

製造業は32ポイント低下のマイナス40と、09年6月以来の低水準となった。最も落ち込み幅が大きかったのは自動車で、94ポイント低下のマイナス90。世界的な需要減を背景に、マツダが3月末から生産調整を実施したことが響いた。影響は広島県を中心に下請けの部品メーカーに波及。業種別の鉱工業生産指数でも、自動車と同部品を含む「輸送機械工業」は悪化が続く。

自動車の先行きDIは25ポイント上昇のマイナス65と改善を見込むが、依然として低い水準だ。マツダは8月から国内工場を全面的に通常の稼働体制(昼夜の2交代勤務)に戻す見込み。米中では販売に回復傾向も見られるが、欧州では大きな落ち込みが続いている。販売や生産台数がコロナ前の水準に戻るにはかなりの時間がかかりそうだ。

三菱自動車水島製作所(岡山県倉敷市)では4~6月に続いて7月も、多目的スポーツ車(SUV)「RVR」など普通車の生産ラインを半月ほど停止する予定だ。影響は周辺の下請け部品メーカーにも出ており、月に数日の休業日を設ける企業が多い。

他の主要産業でも悪化が目立つ。化学は14ポイント低下のマイナス16となった。日銀下関支店の峯岸誠支店長は「自動車の生産が戻ってくれば、プラスの影響が波及してくる」と指摘する。ただ、化学の先行きDIはさらに悪化を見込んでおり、反転は依然として見通せない。

新型コロナの影響は非製造業にも大きな打撃を与えている。非製造業は28ポイント低下のマイナス23となった。外出自粛や休業要請に加え、観光客数の大幅な落ち込みが響いた。宿泊・飲食サービスは58ポイント低下のマイナス91、運輸・郵便は46ポイント低下のマイナス62となった。

再開された松江城天守。検温などを実施するためのテントが設置された

再開された松江城天守。検温などを実施するためのテントが設置された

島根県観光連盟の皆美佳邦会長は「県や市の宿泊補助制度や、国のGo To キャンペーンに期待はしている」と話す。一方で「首都圏では感染者が再び拡大傾向。去年並みに回復するのは当分先になるのではないか」と不安をもらす。国内における移動の自粛要請は6月中旬に解除されたものの、第2波への不安は尽きないという。

景況感の底打ちが見通せないなか、設備投資計画への影響も懸念されている。20年度は全産業で前年度比0.5%増と、前回調査(20年3月短観)での計画よりも上振れた。ただ、収益見通しを「未定」としている企業も多く、先行き次第で投資が抑制される可能性もある。「不要不急の投資案件を先送りするといった例や、未回答の企業も少なくない」(日銀広島支店の浜田秀夫支店長)との声もある。

全産業の先行きDIは4ポイント悪化のマイナス35の見込み。新型コロナの収束がまだ見通せないなか、輸出産業が多い中国地方では厳しい局面がしばらく続きそうだ。

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