EU、渡航制限緩和へ「安全15カ国」 全面自由化遠く

2020/7/1 19:21
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【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)が域外からの渡航を受け入れる第1弾のグループとして日本など15の国を選んだ。新型コロナウイルスの感染状況がEUよりも落ち着いているかを主な判断基準とした。7月1日以降、国境管理の権限を持つ加盟国がそれぞれ判断するため、対応がばらつく可能性がある。

欧州ではギリシャなどが観光客の受け入れ再開に積極的だ(6月、アテネのアクロポリス博物館)=ロイター

「我々は新しい段階に入る」。15の国が載ったリストが公表された30日、EUのミシェル大統領はツイッターにこう書き込んだ。不要不急の渡航を禁止した3月中旬以来、正常化に向けた一歩を踏み出す。「我々は警戒を怠らない」とも指摘し、国境開放は緩やかに進める考えを示した。

リストに掲載されたのは日本や韓国、オーストラリア、カナダなどの15カ国。感染が多い米国やロシア、ブラジルなどは除外した。リストは感染状況をみながら2週間ごとに更新する。リストは「勧告」にとどまり、強制力はない。実際に入国を受け入れるかどうかは加盟国が決める。

ギリシャは1日からリストに載る国からの渡航者を受け入れながら、入国者はPCR検査の対象になることがあるとしている。ベルギー外務省は6月30日、「数日中に旅行者がベルギーの領土にいつ、どんな条件でアクセスできるかを評価する」と発表した。現地報道によると、イタリアは域外からの渡航者に14日間の待機などを求める。観光の全面自由化にはほど遠い状況だ。

EUは国を選ぶにあたって感染状況を重視した。具体的には過去2週間の新規感染報告数がEU並か下回っているかを基準にした。EUの専門機関、欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、EUの10万人あたりの感染者数は16人程度だ。日韓はこの水準を大きく下回る。この基準にウイルス封じ込め策や検査体制、治療状況を加味した。

相手国がEU加盟国からの渡航者を受け入れるかどうかの「相互性」も考慮した。日中韓を含む11カ国からの入国を2日から認めると発表したドイツは相互性を条件としており、日本からの渡航は当面認められない。日本は欧州全土に渡航中止勧告を出している。EU筋によると、加盟国の日本在住者が緊急の用事で一時帰国しても、日本への再入国が認められにくいなどの不満がある。

関係者によると、当初は6月24日前後の合意を目指していたが、加盟国の足並みがそろわず、6月30日までもつれ込んだ。経済と安全のバランスをどうとるかが議論の焦点となった。欧州の夏は南欧の観光業にとってかき入れ時だ。新型コロナで大きく傷ついた経済を早期に再生するために渡航制限を緩和すべきだとの声が強まっていた。

当初、リストには50を超える国が載っていたという。経済を観光に大きく依存するギリシャやポルトガルなどが推していた案だが、感染が再拡大するリスクを懸念してドイツなどは国数を絞り込むよう求め、時間をかけて制限を緩めるよう主張したとされる。最終的には多数決を経て、合意に達した。

渡航が可能になるのは欧州域内の移動の自由を保障した「シェンゲン協定」の加盟国となる。アイルランドを除くEU各国に、EU非加盟のノルウェーやスイス、アイスランドなども含まれる。シェンゲン協定の加盟国内にいったん入ると、域内は原則パスポートの検査なしで行き来できる。EUを離脱した英国は「移行期間」中のため、EUの一部として扱われるがシェンゲン協定加盟国ではない。

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