九州・沖縄企業の景況感、過去最大の悪化幅 日銀短観

2020/7/1 19:07
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日銀福岡支店が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、九州・沖縄企業の業況判断指数(DI)は全産業で前回3月調査から23ポイント低下し、マイナス27となった。新型コロナウイルスの影響で、悪化幅は1974年の統計開始以来、最大となった。

九州・沖縄の短観を説明する日銀福岡支店の宮下俊郎支店長(1日、福岡市)

九州・沖縄の短観を説明する日銀福岡支店の宮下俊郎支店長(1日、福岡市)

DIは景況感が良いと答えた企業の割合から、悪いと回答した割合を引いた値。3月時点での6月見通しはマイナス16で、「予測を大きく上回る深刻な影響が確認された」(宮下俊郎支店長)。

製造業のDIは26ポイント低下のマイナス31。世界的な販売不振を受け生産調整が続いた自動車など輸送用機械が40ポイントの大幅悪化となった。関連部材を供給する鉄鋼や窯業・土石製品、電気機械などにも影響が広がった。

4つの完成車メーカーの拠点がある九州には、サプライヤーなど関連企業が1千社近くある。需要は7月にも回復基調に転じるとみられるが、日産自動車九州(福岡県苅田町)は7月も複数日、一部で夜間操業を取りやめる予定で影響は続きそうだ。

非製造業のDIは20ポイント低下のマイナス24。緊急事態宣言で外出の自粛が広がり、宿泊・飲食サービス(マイナス94)や対個人サービス(マイナス59)、運輸・郵便(マイナス40)などの業種は過去最低に沈んだ。

食料品や紙・パルプ、木材・木製品などの製造業にも影響は現れた。

観光産業のウエートが高い沖縄県の全産業DIはマイナス35と過去最低になった。那覇支店の桑原康二支店長は「コロナ前は全国で一番高かったが一気に全国を下回る水準となった。つるべ落としのような下落だ」と述べた。

3カ月後の先行きは、九州・沖縄の製造業でマイナス32、非製造業ではマイナス30と小幅悪化の見通し。ただ「足元業績の底打ちや回復の兆しが見られ始めたなかで、回復のテンポがそれほど速くないとの警戒感を示している」(宮下支店長)

国の観光促進策への期待から対個人サービスや宿泊・飲食サービスで改善を見込む一方で、ホテルの建設が減るとの見方から建設では28ポイントと大幅な悪化となる。

先行きについては企業からも懸念の声が出ている。正興電機製作所は19年度からの受注残もあり、中国・大連にある工場の稼働率は現時点では落ちていないが、コロナの影響で営業活動が思うようにできておらず「今後影響が出るかもしれない」と打ち明ける。

短観では20年度の事業計画もまとめた。電気ガスを除く全産業の売上高は19年度比4.1%減、経常利益は21.7%減となる。売上高に比べて利益の減少が大きく、日銀は「家賃など固定費が削減しがたいことが要因だ」と分析する。

20年度の設備投資計画は全産業で2.9%増える。10.0%増となった19年度の実績は下回るが、増勢は続く。12.1%増となる製造業がけん引する。輸送用機械、データセンター、次世代通信規格5Gなどで半導体需要を見込むはん用機械や電気機械で大型投資が計画されているという。

非製造業は19年度の大型投資の反動減に加え、運輸や小売りで投資を取りやめる動きがあり、12.5%減となる。

日銀は「大企業を中心に新型コロナの影響を織り込めてない企業も多く、次回以降に大幅修正となる可能性に注意が必要」と指摘した。調査は5月28日から6月30日に実施し、九州・沖縄の1113社から回答を得た。

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