東北の路線価、宮城は8年連続上昇 コロナで不透感

2020/7/1 18:58
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仙台国税局が1日発表した東北6県の2020年分の路線価(1月1日時点)は、6県全体(標準宅地の平均値)で前年比1.2%上昇した。宮城の上昇は8年連続。仙台市内は中心部でマンションや大型商業施設の再開発の期待が投資を呼び込んだ。ただ1月の価格には新型コロナウイルスの影響が反映されておらず、今後の価格動向は不透明感が強まっている。

仙台市内の最高路線価地点の旧さくら野百貨店前

宮城の最高路線価地点は「仙台市青葉区中央1丁目青葉通り」で、9.7%上昇した。仙台市は「再構築プロジェクト」で中心部の再開発を支援している。容積率の緩和や助成金などで老朽化したオフィスの建て替えを促す狙いだ。JR仙台駅周辺では活発な新規投資が価格を押し上げた。

「3月まで仙台市内の不動産取引は強気の姿勢が続いていた」。こう指摘するのは不動産鑑定士の千葉和俊氏だ。ところが新型コロナの影響で4月から5月にかけて取引が止まり、足元では不安定な値動きが続く。再開発の先行きにも懸念が出始めた。「旺盛だった投資の流れが変わる可能性がある」(千葉氏)

東北各県の県庁所在地の路線価が上昇するなか、横ばいにとどまった山形市。最高路線価があるJR山形駅前はここ数年、百貨店跡地にホテルが建設されるなど投資の動きがあった。中心市街地もマンション建設が相次いだが、新規案件は一服しているうえ、「新型コロナで投資の動きは止まった」(地元不動産業者)という声も聞かれる。

秋田で最も高い「秋田市中通2丁目 秋田駅前通り」は横ばいだった。秋田駅周辺ではマンション建設やホテル増築などの再開発が進んでいる。2番目に高い「秋田市外旭川字三後田 県道秋田北インター線通り」は上昇に転じた。「郊外型店舗の出店が相次ぎ需要が高まっている」(不動産鑑定士の戸沢一喜氏)ためだ。

青森の最高地点は青森市中心街の「青森市新町1丁目 新町通り」で、3.2%上昇の16万円だった。上昇したのは1992年以来28年ぶり。18年に青森市役所が青森駅前のビル「アウガ」に窓口業務を移して人通りが増えたほか、周辺の再開発が進んでいることが上昇に転じた要因とみられる。

岩手の最高地点の「盛岡市大通2丁目」は2.0%上昇となり、3年連続の上昇。県内9税務署の最高地点を比べると上昇が3地点と19年に比べて1地点増えるとともに、下落率が5%以上の地点はゼロになるなど、下げ止まり傾向を示している。

新たに上昇地点となったのは北上市大通り1丁目駅前通り(4.5%上昇)。県不動産鑑定士協会は「キオクシア(旧東芝メモリ)の新工場完成で賃貸住宅が増えているほか、北上駅前の開発が始動したことなどが背景にあるようだ」とみる。

東日本大震災の被災地では復興関連の需要が一巡して上昇が緩やかになってきた。福島の標準宅地は14年から7年連続で上昇したが、上昇率は年々低下している。20年は前年の1.2%から0.5ポイント縮小した。県内最高地点は「郡山市駅前1丁目 郡山駅前通り」の30万円。上昇率は前の年と同じ1.7%だった。

不動産鑑定士の佐藤栄一氏は「利便性の高い地域の価格は好調を維持する半面、復興関係の土地需要は減り、19年10月の台風19号による被害も価格を押し下げる要因になった」と分析。郡山駅前については「目玉となる再開発事業はないが、周辺で大規模なマンション開発が進むなど一定の競争力がある」と話す。

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