北海道の短観はマイナス26、過去最大の低下で最低に

日銀札幌支店が1日発表した北海道の6月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス26だった。。前回(3月調査)と比べて過去最大となる19ポイントの低下で、東日本大震災後以来の低水準まで落ち込んだ。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の解除後も製造業や飲食・観光などを中心に景況感が低迷する。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と回答した割合を差し引いて算出する。調査期間は5月28日~6月30日。北海道の製造業111社と非製造業341社、計452社から回答を得た。回答率は99.1%。
DIの悪化幅は1974年の調査開始以来の過去最大で、マイナス26は11年6月以来の低水準。製造業が20ポイント低下のマイナス32、非製造業は17ポイント低下のマイナス23といずれも大きく低下した。

1日記者会見した日銀札幌支店の小高咲支店長は「緊急事態宣言や都道府県間の往来自粛が解除された後も経済活動再開の動きは鈍く、はかばかしい回復の動きは見られていない」と述べた。
非製造業では宿泊・飲食サービスがマイナス92で前回調査のDI(マイナス75)を下回り、過去最低となった。レジャー施設などを含む対個人サービスも63ポイント低下のマイナス90だった。訪日客の減少や、6月中旬まで続いた都道府県をまたぐ往来の自粛が響いた。
札幌市近郊の定山渓温泉(札幌市)では客足の急減が続いている。定山渓観光協会によると、6月19日に往来自粛が解除されたが、6月も前年比6~7割減少している。
製造業は外食向けや自動車販売の不振が原因で落ち込んだ。食料品が31ポイント低下のマイナス52、電気機械が43ポイント低下のマイナス43などと悪化した。ラーメン用製麺を手がける西山製麺(札幌市)の西山克彦常務は「観光客が戻っておらず店舗の客足は回復していない。6月の売り上げは2~3割落ちている」と話す。
20年9月の先行き業況判断DIは6月調査から1ポイント上昇のマイナス25と横ばいと予測するものの、景況感は6月を底に上向くとみている。宿泊・飲食サービスでは1日から始まった北海道在住者の道内旅行を補助する「どうみん割」の効果で20ポイント上昇する。定山渓観光協会の長谷川信之事務局長は「7月以降は観光客も徐々に戻ってくる」と期待を寄せる。
小高支店長は「個人消費が持ち直しに向かい、道内経済全体の下げ止まりに向かうと考えられる」と先行きを予想。その上で「仮に感染症の『第3波』が起きて経済活動を抑えなければいけない状況が再び来れば、今回が底ではなくなる可能性がある」とも述べた。
(塩崎健太郎)

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