静岡県の路線価12年連続マイナス 先行きに不透明感

2020/7/1 18:05
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静岡県内トップは41年連続で静岡市葵区の紺屋町だった

静岡県内トップは41年連続で静岡市葵区の紺屋町だった

国税庁が1日発表した2020年分の路線価(1月1日時点)で、静岡県内の標準宅地は平均で前年比0.4%下落した。12年連続でマイナスとなったものの、にぎわいを取り戻した地域もみられ、下落幅は4年連続で縮小した。ただ今後は高齢化や人口減に加え、コロナ禍もあり先行き不透明感は高まりつつある。

静岡県熱海市の熱海駅前の商店街の1つ「平和通り」(熱海市田原本町)。路線価は1平方メートル当たり25万5000円と前年比8.5%上昇した。県内13税務署それぞれの最高路線価で伸び率は最も高かった。熱海市はこの数年、日帰り旅行需要や若年層を取り込み、にぎわいを見せている。中心部では熱海駅ビル「ラスカ熱海」が16年に開業するなど、商業施設や飲食店のオープンも相次いだ。路線価の上昇は好調な商況を映している。

各税務署の最高路線価をみると、上昇したのは6地点で前年と同じだったが、下落は2地点減ってゼロだった。路線価が最も高かったのは静岡市葵区紺屋町(紺屋町名店街呉服町通り)で、0.8%上昇の121万円。県内トップは41年連続だ。浜松市での最高地点は中区砂山町(浜松駅前通り)で、98万円と1.0%上昇した。いずれも繁華街で人通りが多い。

藤枝市前島1丁目(3.4%上昇)や静岡市清水区草薙1丁目(2.8%上昇)は駅周辺の整備もありマンションが増えている。前年にマイナスだった島田市や掛川市は横ばい。駅前としては安く底値感も出つつある。

路線価は相続税や贈与税の算定基準となり、主要道路に面した1平方メートル当たりの標準価格を示す。県内では11年の東日本大震災以来、津波への警戒感から沿岸部を中心に大きく下落し、人口減を背景に中山間地や郊外でも低迷が続いてきた。

ただ、次第に下げペースは緩やかになっている。日本不動産研究所静岡支所長の鈴木隆史氏は「ハザードマップ策定で判断材料ができ、沿岸部でも選別して買う人が出ている。防潮堤の整備も追い風」と指摘する。

とはいえ、今後下げ止まるかどうかは見通せない。高齢化や人口減で土地需要が減っているうえ、消費の核となる若い世代の県外流出も止まらないからだ。

さらにコロナ禍も下げ要因となりそうだ。企業の設備投資の先送りや、繁華街の客数減がすでに見られる。雇用・所得環境の悪化で住宅購入マインドも冷え込みかねない。鈴木支所長は「移住・テレワーク需要を取り込める新幹線駅周辺を除き、全体的に先行きは厳しくなる」とみる。

9月には、国交省から基準地価(7月1日時点)が公表される。広範囲で大幅な地価下落がみられれば、国税庁は路線価の減額修正も検討している。(福島悠太)

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