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老後のために必要な貯蓄率は? 黄金方程式で簡単計算

Dr.マネーお悩み外来 Vol.5

本日もお金の悩みを抱えた人が、白鳥FP事務所のzoom相談にやってきました。「自分のお金は自分で管理運用できるように、一生困らないマネーリテラシーを身につける」をモットーに、FP白鳥京香が皆様のご相談にお答えします。

 Case2-2: 貯蓄ができないと悩んでいる食品メーカーにお勤めのBさん(28歳、女性、都内に一人暮らし、年収約510万円、手取り年収約390万円、預金は40万円)の2度目のご相談です。前回の処方箋は、
・「ためられない」に性格は関係ない
・今の収入は将来の自分の生活を支えるためのお金。貯蓄はすべての人に必要
でした。

白鳥 こんにちは。前回、いくらためなくてはいけないかは人それぞれですといいました。昨年「老後には2000万円必要」という話が注目を集めましたが、実は2000万円もためる必要がない人も多いですし、逆にもっとためなくてはいけない人もいます。その差はなんだと思いますか?

Bさん 浪費癖があるかないかですか?

白鳥 それも一つありますね。身についたお金の使い方を急に変えるのは難しいでしょうから、たくさん使う可能性のある人はより多くの貯蓄が必要です。ポイントになるのは、働き方のプランと老後の「生活費率」です。

多くの人は、老後、公的年金とそれまでためたお金を取り崩して生活します。将来必要になるお金は、自分が将来いくら年金を受け取れるのかと、今の生活費を基準にして、老後の生活費はどのくらいになるのかを加味して考える必要があります。

Bさん いかにも難しそう。

白鳥 いえ、簡単です。しかも一瞬で知ることができます。あれ? 疑わしそうですね。いいでしょう。百聞は一見に如かず。これをご覧ください。

白鳥 Bさん、どうされました? 浮かない表情ですが……。

Bさん 一目見ただけでやる気がうせました。

白鳥 ご安心ください。方程式に入れる6つの数字を一緒に考えていきましょう。そうすれば、あなたの必要な貯蓄率が瞬時にわかります。早速、「人生設計の基本公式」を解説しますね。パートナーのいる人は合算して考えてください。

(1)平均手取り年収(Y)

現在の手取り額ではなく、現役時代を通じて、今後受け取れる金額です。手取り年収とは、年収から社会保険料と税金を控除した後の金額です。Bさんの「今後の手取り年収の平均値」は500万円としました。「平均手取り年収(Y)=500万円」です。

(2)老後生活比率(X)

現役時代の生活費に対して老後の生活費が何割になるか想定します。例えば、子供が独立し、住宅ローンも完済すれば、老後生活費は現役時代の7割くらいになると思えば「70%」です。Bさんは今はシングルで持ち家もないので、将来的にも生活はあまり変わらないという前提で、現役時代の9割とします。「老後生活費率(X)=90%」と入力しておきましょう。

(3)年金手取り額(P)

手取りの年金受給額を入れます。終身で受け取れる公的年金や企業年金です。会社員は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取れます。終身で受け取れる企業年金がある人はプラスしてください。自営業の人は、老齢基礎年金額を入れます。

年金受給額は、おおよそ計算することができます。

【老齢基礎年金】

年収に関係なく、加入期間1年ごとに2万円増えて、20歳から60歳になるまでの40年間(480カ月)保険料を納めれば、満額の78万1700円(2020年度)です。

【老齢厚生年金】

厚生年金に加入している期間、給与や賞与の額に応じて計算できます。ざっくり「平均年収×0.0055×加入期間」で求めることができます。Bさんは大学を卒業してから会社員として働いています。65歳まで働く予定ですので、厚生年金の加入期間は43年間です。生涯の平均年収を約640万円とすると、老齢厚生年金は「640万円 × 0.0055 ×43年=約151万円」です。

年金額の合計は229万円。手取りは約8割として183万円です。「手取り年金額(P)」は183万円」と入力します(※20歳未満60歳以降の厚生年金加入期間は、基礎年金の合算対象期間として、相当額が厚生年金の「経過的加算」として反映されます)。

今の法改正の流れからみると、なるべく長く働き、年金受給開始時期を遅らせて年金額を増やすことで、より豊かな老後が送れます。年金額はあなたが「稼げる人」になればその分増えます。Bさんたち若い皆さんは、老後のことなどまだ想像できないかもしれませんが、自分の老後の生活を豊かなものにするのも、不安にするのも自分次第です。

(4)現在資産額(A)

預貯金など現在の金融資産の合計額を入れてください。投資信託や株式などは時価で、また、受取額が確定している退職一時金などを加算しても構いません。逆に今後、子供の大学の教育費や住宅購入の頭金など、まとまった支出がある場合は引いてください。数字がマイナスになっても大丈夫です。将来、経済的に大きな変化があったときは、その変化を反映して計算し直します。Bさんの現在資産額は普通預金40万円ですので「現在資産額(A)」は40万円と入力します。

(5)現役年数(a)

これから働く年数を入力します。Bさんは65歳まで働くつもりですので、65歳-現在の年齢28歳=37年です。「現役年数(a)」は37年と入力します。

(6)老後年数(b)

リタイア後に何年生きるのかを入れます。この期間はやや長めに95歳くらいまでを考えます。20代、30代の人は100歳くらいまで想定しておきましょう。Bさんは100歳まで生きるとして、35年です。「老後年数(b)」は35年です。

Bさん 人生100年時代といいますからね……。

白鳥 計算した結果、Bさんの「必要貯蓄率(S)」は約27%でした。今後、この貯蓄率を守れば老後の生活費は年間約326万円を確保できます。

Bさん 貯蓄率約27%ですか! 高すぎてとても自信がありません。

白鳥 はい、わかります。まず必要な貯蓄率を念頭に置いた上で、自分が守れる貯蓄率を知ることが大切ですので、次回、相談しましょう。実際にこれからいくらためていかなければならいのか、どうすればためられるのかを具体的に考えていきます。

では、今日の処方箋です。

◇  ◇  ◇

・自分の必要貯蓄率を求めることが大切

・必要貯蓄率は長期的な視点で考える

◇  ◇  ◇

白鳥 次回、お待ちしています。

岩城みずほ(いわき・みずほ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)。オフィスベネフィット代表。「金融商品を販売することによるコミッションを得ず、中立的な立場でコンサルティングする」をモットーに、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長も務める。著書に『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)など。https://www.officebenefit.com/

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本日もお金の悩みを抱えた若者が「白鳥FP事務所」のドアをたたく……。ファイナンシャルプランナーの岩城みずほ氏がマネーリテラシーの向上のために様々なお金の問題を取り上げ、対話形式でわかりやすく解説します。隔週火曜日に掲載します。

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