ロシア改憲投票、プーチン氏5選問う 感染拡大でも強行

2020/7/1 16:46
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【モスクワ=小川知世】ロシアでプーチン大統領の5選を可能にする憲法改正法案の賛否を問う全国投票が1日、実施された。投票者の過半数が賛成し成立する見通し。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかで投票を強行し、プーチン体制のさらなる長期化へ露骨な票集めを展開した。

プーチン氏に斜線を引いたイラストのTシャツを着て期日前投票を行った男性(6月30日、モスクワ)=ロイター

プーチン氏は旧ソ連兵の巨大像を背景にした演説を公開し、改憲法案への支持を呼びかけた(6月30日、トベリ州)=AP

1日、モスクワの投票所で投票手続きをしたプーチン氏=ロイター

プーチン氏は1日午前、モスクワ市内で投票した。同氏は6月30日の演説で「ただの改憲法案ではなく、我々が暮らしたい国に投票するのだ」と投票を呼びかけた。

ロシアが憲法を巡る全国投票を実施するのは、1993年に続いて2回目だ。206の改憲項目について、一括して「賛成」「反対」を問う。6月25日から期日前投票が始まり、中央選管によると、30日までの投票率は55%だった。7月2日にも大勢が判明する。

全国投票は事実上の政権への信任投票になる。圧倒的な賛成多数と高い投票率を得て、20年に及ぶプーチン体制のさらなる長期化に国民の支持を得られるかどうかが焦点だ。政府系調査機関は6月29日、28日までの出口調査で76%が賛成に投票したと発表した。

注目の大統領任期については、改憲法案で「連続2期」までの大統領任期を「通算2期」に制限する一方、これまでの任期は適用外とした。2024年に4期目の任期が切れるプーチン氏は36年まで大統領にとどまることが可能になるが、5選出馬に踏み切るかどうかは決めていないとしている。

全国投票は4月22日に予定していたが、新型コロナで延期された。ロシアの感染者数は65万人で、現在も1日6千人超の増加が続く。感染拡大に伴う景気の悪化でプーチン氏の支持率は低下傾向にあり、改憲への関心も薄れつつあった。焦りを募らせた政権は早期の投票に踏み切った。

改憲法案には領土の割譲禁止や年金の定期的な見直しなど国民の受けが良い内容を盛り込んだ。国営テレビはこうした条項を前面に押し出して投票を呼びかけるCMを盛んに流した。北方領土を事実上管轄するサハリン州の知事も6月28日、改憲で「領土が不可分になる」と州政府サイトで主張し、賛成を促した。

政権は強引な集票活動を展開した。感染対策を理由に6日間の期日前投票を設け、各地の投票所を利用できるようにした。モスクワ市などで電子投票も導入した。同市では投票した人に抽選で最大4千ルーブル(約6千円)分の商品券などが当たる特典を提供した。国営企業による投票への動員などもあったとみられる。

投票の透明性や合法性を疑問視する声は強い。民間の選挙監視団体は、期日前の投票期間中、夜間に投票箱を監視できないなどと不正のリスクを訴えた。独立系メディアは電子投票と投票所で「二重投票」が可能だったと報じた。様々な改憲項目を一括して賛否を問う投票のやり方自体が違法だとの指摘もある。

反対票を投じたモスクワの女性(30)は「言論の自由も法の統治もない。36年までプーチン体制が続くのは耐えられない」と訴えた。反体制派はボイコットや反対票を投じるように呼びかけているが、感染対策で集会が禁じられていることもあり、改憲への反対運動は盛り上がりを欠く。

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