社会に役立つ人材とは 仏教学者 佐々木閑
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大学の現場にいると、「社会に役立つ人材を育成せよ」とよく言われる。それなりに立派な方針だとは思うのだが、ただ、「社会に役立つ」という言葉の意味がどうにも不明確である。まさか、社会全体を巨大な機械に見立てて、その中の一個の歯車として滅私奉公で働けという、前時代的な意味ではなかろう。もう少し人間味のある意味で解釈したい。
では、その人の仕事が多くの人に利益をもたらし、「誰々さん、あなたのおかげでこん...
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