資金繰り・雇用 にじむ不安 設備投資は底堅く

経済
2020/7/1 12:58
保存
共有
印刷
その他

日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、新型コロナウイルスによる企業の経営環境の悪化が浮き彫りとなった。資金繰りの指数は46年ぶりの悪化幅を記録。雇用も製造業を中心に人手に「過剰感」が出ている。政策支援で倒産や失業の急増を防げるかの瀬戸際にある。

資金繰りが「楽である」と答えた企業の割合から「苦しい」の割合を引いた資金繰り判断指数(DI)は、全規模・全産業で3月の前回調査から10ポイント下がりプラス3だった。悪化は2四半期連続で、下落幅は1974年9月(10ポイント)以来の大きさとなった。

3月調査の時点ではまだコロナ禍の影響が小さかった。その後の3カ月間で売り上げが急減する企業が続出し、資金繰りが急速に厳しくなっている。

規模別に見ると、中小企業は前回調査から9ポイント悪化のマイナス1。悪化幅は過去最大で、2013年9月以来のマイナスに転じた。大企業も8ポイント悪化のプラス10と、10年3月以来およそ10年ぶりの低水準になった。

金融機関の貸し出し姿勢が「緩い」と答えた割合から「厳しい」と答えた割合を引いた貸出態度判断DIはプラス19と、前回から1ポイントの悪化にとどまった。政府・日銀は金融機関を通じた無利子・無担保融資を推進しており、金融環境は緩和的な状態だ。実際に融資の実行を進めて、資金繰りの厳しい企業をどれだけ支えられるかが当面の焦点になる。

企業の経営環境の厳しさは雇用面にも表れている。雇用人員が「過剰」と回答した企業から「不足」の割合を引いた雇用人員判断DIは、全規模・全産業でマイナス6と22ポイント上がった。上昇幅は1975年3月(17ポイント)を超えて過去最大の大きさになり、人手不足感が急速に薄れている。製造業は26ポイント上昇してプラス11と「過剰」に転じた。

3カ月後を示す先行きDIは全産業でマイナス9と若干回復する見込み。だが感染再拡大の懸念がくすぶるなかで雇用環境の不透明感は強い。

設備投資を抑制する動きも出ている。全規模・全産業の2020年度の設備投資計画は前年度比0.8%減と、3月時点の0.4%減から下振れした。6月調査では通常、中小企業の計画が定まっていない3月調査から上方修正されることが多い。今回は企業の守りの姿勢を映し、09年以来の下方修正となった。

QUICKが事前に集計した民間予測の中心値(3%減)より減少幅は小さかった。日銀は「生産性の向上や効率化に向けた投資が堅調だった」とみている。底堅く設備投資が推移するかどうかは、新型コロナの打撃から日本経済が回復基調に戻れるかどうかを占う試金石になる。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]