大阪・ミナミの路線価、キタに肉薄 20年

2020/7/1 11:00
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近畿の最高価格地点の「阪急うめだ本店」前(1日、大阪市北区)

近畿の最高価格地点の「阪急うめだ本店」前(1日、大阪市北区)

大阪国税局が1日発表した近畿2府4県の2020年分(1月1日時点)の路線価で、大阪・ミナミが大幅に伸び、キタに肉薄した。インバウンド(訪日外国人)需要を追い風にしたものだが、その後の新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動は大幅な縮小を余儀なくされた。京都、神戸では1月時点でも一服感が出ており、今後の地価動向はここ数年の上昇局面から潮目が変わる可能性が高い。

近畿2府4県で最も高かったのは「阪急うめだ本店」前で、1平方メートル当たり2160万円と前年から35.0%上昇した。次いで大阪・ミナミの「戎橋ビル」前が44.6%上昇の2152万円と8万円差に迫った。3位はJR大阪駅北側「グランフロント大阪南館」前が31.5%上昇の1307万円だった。

前年から21.2%上昇した「奈良近鉄ビル」前

前年から21.2%上昇した「奈良近鉄ビル」前

京都の最高地点は四条河原町の「みずほ銀行四条支店」前で18.1%上昇の673万円。兵庫は神戸・三宮「野村証券神戸支店」前で17.6%上昇の576万円といずれも上昇率は前年を下回った。

これに対し、奈良では「奈良近鉄ビル」前(奈良市)が21.2%上昇の80万円と京都、兵庫を上回る伸びとなった。20%超の伸びは1991年以来、29年ぶり。奈良公園や寺社への玄関口で、訪日外国人の増加を受け新規出店が相次ぎ、10月にはHISホテルホールディングスによる「変なホテル」が開業予定だ。

近畿の路線価はリーマン・ショック以降、訪日外国人の急増を受け中心市街地で上昇が続いてきた。ただ、ホテルの建設ラッシュなど一部で供給過剰感が出ていたところへ、コロナ禍による訪日客の「消滅」と経済活動の停滞で「潮目が変わった」と不動産鑑定士の山内正己氏は指摘する。

既に大阪の都心部でも「リーマン・ショック以降初めて、空室率の上昇と家賃の下落がみられる」と山内氏。京都や大阪・ミナミなど訪日客増が続くことを前提とした出店などの事業計画が多かった地区では、「訪日客が戻る時期が見えるまで様子見の姿勢が増える」としたうえで、「今後は下落傾向になる恐れもある」との見方を示す。

不動産サービス大手、JLL関西支社の山口武氏は、訪日客が消えるなどコロナ禍により「21年までは厳しい局面になる」としつつも、「大阪の潜在力は落ちてはいない」と語る。大阪・キタで新規オフィスが大量供給される22年ごろには新型コロナのワクチンや治療薬の供給にメドが立っている可能性が高いうえ、「25年に国際博覧会(大阪・関西万博)が開かれることも大きい」という。

コロナ禍の「副産物」ともいえるテレワークやサテライトオフィスの浸透が新しい「職場のあり方」を生み、新規に供給されるオフィスがこうしたニーズに応えることで「大阪の魅力向上につながる」と山口氏は話す。そのためには「スタートアップ企業など、関西経済を担う新たなプレーヤーの登場が不可欠」とコロナ後を見据えた課題を指摘する。

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