路線価、5年連続上昇 コロナ影響次第で減額修正も

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2020年分の路線価(1月1日時点)を発表した。全国約32万地点の標準宅地は19年比で1.6%のプラスとなり5年連続で上昇した。訪日外国人(インバウンド)客の増加や都市部の再開発が上昇をけん引した。
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足元では新型コロナウイルスの影響によりインバウンドが激減し、経済活動の停滞で不動産売買が減少している。国税庁は、今後の地価の推移によっては路線価の減額修正を可能にする措置を導入する方針だ。
路線価全国1位は35年連続で東京都中央区銀座5の文具店「鳩居堂」前、1平方メートルあたり4592万円だった。都道府県庁所在地の最高路線価の上昇率トップは那覇市久茂地3の国際通りで40.8%、次いで大阪市北区角田町の御堂筋で35.0%だった。都道府県別では21都道府県が上昇し、上昇率は沖縄県が10.5%でトップ、東京都が5.0%で続いた。

路線価は1月1日時点の評価で、その後の新型コロナの世界的な感染拡大による影響は反映されていない。
みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所によると、上場企業などによる4~5月の不動産売買額(公表ベース)は計約1388億円で、前年同期比で8割以上減った。都内の不動産鑑定士は「売買が低調で、地価はダラダラと下落傾向が続くのではないか」とみる。
9月ごろには国土交通省が、不動産鑑定士の評価を基にした7月1日時点の基準地価を公表する。基準地価が広範囲で大幅に下落した場合、国税庁は地域ごとに一定の係数を路線価に乗じて減額する案を検討している。
- 【各地の路線価】
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