マイクロソフト、コロナ失業2500万人にIT教育 無料で

ネット・IT
北米
2020/7/1 6:37 (2020/7/1 7:11更新)
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マイクロソフトはコロナで失業した人に「データ分析」などIT関連の講座を無料提供する(写真は2019年秋の開発者会議)

マイクロソフトはコロナで失業した人に「データ分析」などIT関連の講座を無料提供する(写真は2019年秋の開発者会議)

【シリコンバレー=佐藤浩実、ニューヨーク=清水石珠実】米マイクロソフトは30日、新型コロナウイルスの影響で失業した人に対し、再就職に必要な技能教育を始めると発表した。2020年中にIT(情報技術)関連の講座を世界で2500万人に無料提供する。潜在顧客を増やす狙いだが、コロナを経て労働市場が求めるスキルが変化している様相も映す。

傘下のビジネスSNS(交流サイト)、リンクトインの求人情報をもとに「ソフト開発者」や「データアナリスト」など人気の10職種を選び、関連する同社のオンライン講座を無料で受けられるようにする。例えば「グラフィックデザイナー」の講座の場合、全29時間のビデオでデザインの基礎や「フォトショップ」など主要ソフトの使い方を学べる。

マイクロソフトや子会社のGitHub(ギットハブ)が持つ専門技術に特化した講座を履修したり、人工知能(AI)と面接を訓練したりできるようにする。一部の資格試験は受験料を割り引く。IT技能を高めることで、再就職につなげてもらいやすくする。

サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は30日に配信したオンライン会見で「(コロナで)最も影響を受けた人々に対処し、誰も取り残されないようにする」と話した。自治体やNPOと組んで求職者の利用を促すという。マイクロソフトにとっては再教育を通じて自社のサービスに慣れてもらうことで、将来の顧客のすそのを広げる狙いがある。

コロナ下の失業は世界的な課題だ。米労働省によると米国の失業保険の総受給者数は6月7~13日の週で1952万人にのぼり、日本でも5月の失業者が200万人に迫った。世界ではコロナの影響で20年に2億5千万人が職を失うとの試算もある。

経済活動の再開が進めば一時解雇者の職場復帰が見込まれる一方、飲食業や小売業を中心にネット通販に軸足を移すなど事業そのものを見直す企業も相次いでいる。接客スキルなどよりもIT技能を持つ人材を求める企業が増えており「コロナは『スキルの乖離(かいり)』を深刻にした」(ナデラ氏)。

今後も単純労働は減少傾向が続く半面で、IT関連では25年までに世界で新たに1億4900万人分の仕事が必要になる見込みだ。マイクロソフトの失業者向け再教育に限らず、多くの企業にとってコロナによる変化を見据えた人材訓練の重要性は増している。

米小売り最大手のウォルマートは6月上旬、従業員に対する学位取得補助の仕組みを、ITや設備メンテナンスの資格取得にも対象を広げると発表した。再教育プログラムを充実させることで従業員確保につなげるほか、ネット通販や店舗でのロボット活用といった新しい事業に対応できる人材を増やす狙いがある。

雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのシニアバイズプレジデント、アンディー・チャレンジャー氏は「当初のコストは高く感じられるかもしれないが、従業員の再教育は企業の雇用戦略として長期的な効果が期待できる」と指摘する。IT変革などを進めやすくなるほか、従業員の会社に対する忠誠心も高まるという。

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