「自家製」高配当株ファンドのつくり方(窪田真之)
楽天証券経済研究所長兼チーフ・ストラテジスト

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株式投資
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2020/7/3 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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日経平均株価はコロナ危機で暴落した後、3月中旬以降に一転して急反発しました。危機による暴落も、その後の急反発も、ピタッと予想できた人はおそらくいないはずです。もちろん私も、どちらも予想できませんでした。

私は過去25年間、日本株のファンドマネジャーをやってきましたが、いつも「相場は予想するものではない、ついていくもの」と割り切っていました。「買いだと思って買っていても、急落すれば売る。売りだと思って売っていても、急騰すれば買い」を徹底していました。

もうひとつ、徹底していたことがあります。「割安」と判断する銘柄を買うことです。割安な銘柄を買えば、たとえ日経平均の急落で短期的に株価が下がっても、長期的にはリカバリーが期待できるからです。今でいうと、大型の高配当利回り株の投資価値がきわめて高いと思います。株式投資の初心者は、そこから投資を始めたらいいと思います。

高配当利回り株への長期投資は、株式投資で最初に学ぶべき基本中の基本です。株式投資とはそもそも、会社に資本を提供し、その見返りに会社からあがる利益の一部を配当金として受け取るものです。

「いいタイミングで株を売ったり買ったりすること」ばかりにとらわれず、割安な高配当株を買ってじっくり長期で保有することを考えたほうがいいと思います。

配当利回りは、確定した利回りではありません。業績が悪化して減配になれば、利回りが低下します。株価が下がる可能性もあります。銘柄選択にあたっては、単に予想配当利回りが高い銘柄を選ぶのではなく、長期的に保有して減配になりにくい銘柄を選ぶことが大切です。

配当利回りが高い銘柄に機械的に投資するのは、厳に避けるべきです。予想配当利回りが高すぎる銘柄には、減配リスクが高いものが多数含まれているからです。ランキングだけを見て機械的に高配当利回り株を選ぶのは、わざわざ減配リスクの高い銘柄を選別しているのに等しい行為です。特に、小型株で予想配当利回り5%以上の銘柄には注意が必要です。

予想配当利回りが高い銘柄から減配リスクの低いものを選別するにはどうしたらいいでしょうか。機関投資家が高配当利回りファンドをつくるときのノウハウを使ってみましょう。

私がファンドマネジャー時代に使っていた、減配リスクの低い銘柄を選ぶための条件は(1)規模:売上高や時価総額が大きい(2)業種:不況に強い業種に属する(3)財務:借金が少ない(4)収益力:経常利益率が高い──の4つです。

4つの条件は重要性の高い順に並んでおり、すべてに当てはまる必要はありません。一番重要な(1)だけ満たすものを選ぶだけでも十分に、減配リスクが相対的に低い高配当株を選ぶことができます。

2番目の条件である業種選別は今、とても難しくなっています。不況の影響を受けにくい代表業種は、一般的には、情報通信、電鉄、医薬品、食品、サービスなどです。ただし、コロナ危機ではこの常識が通用しませんでした。通常の景気後退ではディフェンシブな電鉄やサービス業が、今回の危機では大きなダメージを受けました。個人投資家が業種について考えるならば「なるべく幅広い業種に分散投資する」ことだけ考えればいいと思います。

財務や収益力の分析も、一般の個人投資家にはやや難しいかもしれません。TOPIXコア30(東証1部で時価総額が大きい30社)に含まれている銘柄に投資しておけば、自動的に財務内容や収益力がそこそこ安定的な銘柄を選んだことになります。

というわけで、個人投資家、特に初心者が高配当利回り株を選ぶ際には、日本を代表する大型株から選び、なるべく幅広く業種分散することだけ、考えればいいと思います。

上記を踏まえて、具体的にポートフォリオを組んでみましょう。非課税で投資できる少額投資非課税制度(NISA)の枠内(年間120万円)で投資できるように、投資金額を118万円に抑えてつくってみました。

これはあくまでもひとつの例に過ぎません。金額を変えれば、他にもさまざまな投資の組み合わせが可能です。もちろん、投資信託で「高配当ファンド」を選んでもいいでしょう。ただ、まとまった資金があるのなら、自ら「手作りファンド」をつくって個別銘柄を買い、長期保有するのも悪くありません。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムです。
窪田真之(くぼた・まさゆき)


1961年生まれ。84年慶大経卒、住友銀行入行。87年より大和住銀投信投資顧問などで日本株ファンドマネジャー。2014年楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト、15年所長。

[日経ヴェリタス2020年7月5日付]

日経ヴェリタス

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