中国5県路線価、3年連続上昇 広島・岡山けん引

住建・不動産
中国
2020/7/1 11:00
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広島国税局が1日に発表した2020年の路線価(1月1日時点)によると、標準宅地の平均変動率は前年比1.1%上昇だった。3年連続の上昇で、中心部の再開発が続く広島県や岡山県がけん引。山口県で下落から上昇に転じたほか、山陰でも下落幅が縮小した。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で土地取引が停滞し、勢いが収まるとの見方もある。

路線価は主要道路に面した土地の評価額で、相続税や贈与税の算定基準となる。5県全体の上昇幅は前年(0.7%)から拡大し、継続地点に占める上昇地点の割合も37.8%と6ポイント増えた。

広島県では2.6%上昇と5年連続プラスで、上昇率は前年の2.0%から拡大。市中心部の紙屋町・八丁堀地区が18年10月、国が再開発を後押しする「都市再生緊急整備地域」に指定されたことが、引き続き追い風となっている。税制上の優遇などが受けられることもあり、再開発への期待が集まる。

広島銀行が同地区にある本店を建て替えるなど実際の動きも活発だ。不動産鑑定士の吉村明氏は、今後について「行政や事業者がコンパクトシティーを目指し、都心で開発を進める傾向は変わらなさそうだ」と話す。

岡山県では3年連続で上昇した(最高価格地点の岡山高島屋前)

岡山県では3年連続で上昇した(最高価格地点の岡山高島屋前)

岡山県は0.7%上昇と3年連続プラスで、上昇幅も昨年(0.2%)から拡大した。岡山駅や倉敷駅の周辺を中心に、岡山市や倉敷市でマンションやホテルなどの再開発が活発なことが寄与した。不動産鑑定士の藤原康正氏は「中心市街地だけでなく、周辺にも勢いが広がる動きは続いている」とみている。

山口県では0.2%上昇。現在の計算方法になった10年から10年連続の下落だったが、初めて上昇に転じた。不動産鑑定士の稲田豊氏は「値ごろ感から利便性のいい土地への需要が回復したが、人気のない地域は下がっており二極化が進んでいる」と指摘した。

山陰では下落基調が改善している。鳥取県は0.3%下落と0.1ポイント、島根県では0.5%下落と0.3ポイントそれぞれ縮小した。島根県の状況について、不動産鑑定士の内藤進氏は「松江駅前は1月まで観光が比較的順調で、ホテルの建設予定もあることから上昇した。しかし県全体としては人口減少や高齢化で下落傾向が続いている」とコメントした。

ただ、今後は新型コロナの影響で、再開発の先行きには不透明感がある。インバウンド(訪日外国人)の来訪などといったプラスの要因がなくなり、上昇しても上げ幅が緩くなると予測する声もある。吉村氏は「土地の売買はしばらく様子見となる可能性がある」と指摘する。

岡山県倉敷市真備町地区の被害が大きかった中心部は16.8%下落から0.2%上昇に転じた

岡山県倉敷市真備町地区の被害が大きかった中心部は16.8%下落から0.2%上昇に転じた

一方、発生から間もなく2年を迎える西日本豪雨の被災地では、下げ止まりの動きが見られた。大規模な浸水が起きた岡山県倉敷市真備町地区では、全域の標準宅地の平均変動率が0.1%下落と前年(14.7%下落)からマイナス幅が大幅に縮小。被害の大きかった中心部9地点に限ると、16.8%の下落から0.2%の上昇に転じた。

この1年間で食品スーパーや学校が相次いで再開し、住宅の建て替えや修繕も進んだ。ただ、藤原氏は「住民が暮らしていた元の場所に戻りきっていないこともあり、今後も急な回復は見込めないのではないか」との見方を示している。

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