ふるさと納税 逆転勝訴 泉佐野市「復帰、一日も早く」

関西
大阪
2020/6/30 20:37
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最高裁で逆転勝訴し、記者会見する泉佐野市の千代松市長(30日、泉佐野市役所)

最高裁で逆転勝訴し、記者会見する泉佐野市の千代松市長(30日、泉佐野市役所)

総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外した決定の是非を巡る訴訟で30日、最高裁が同市の逆転勝訴とする判決を言い渡した。千代松大耕市長は市役所で記者会見し、「当市の主張を全面的に認めてもらった。一日も早く制度に復帰したい」と語り、大阪府を通じ、総務省に働きかけていくことを明らかにした。

千代松市長は最高裁判決の意義について「地方分権といわれながら、多くの自治体は国の一方的な通知で悔しい思いをしてきたと思う。総務省は後付けの理由で自治体に不利益をもたらした。これはいけないと判決は示してくれた」と語った。

ふるさと納税制度の指定期間は原則10月から翌年9月までの1年間の更新制。参加自治体は毎年申請する必要がある。国に勝訴した泉佐野市の場合、現在の指定期間である9月までに制度復帰が認められる可能性が高い。8月に申請をすれば10月以降も参加できる見込みだ。

ただ寄付収入は除外前より大幅に減る見通し。泉佐野市は2018年度に約497億円と全国首位の寄付を集めた。当時、返礼品競争の激化を憂慮する総務省は「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品に」と要請していたが、まだ法的拘束力はなかった。その要請に従わなかった泉佐野市は多様な返礼品やアマゾンギフト券などで寄付者をひき付けた。

これに対し、新制度では「3割、地場産品」が法律上のルールで、肉やカニなど全国的な人気の特産品が少ない泉佐野市の場合、除外前のような多額の寄付収入は見込みにくい。千代松市長は「新型コロナウイルスで観光業者などが打撃を受けている。泉佐野市に誘客できるような取り組みもしたい」と話した。

最高裁の裁判官の一人は補足意見として、総務省の要請に従う自治体が多い中で泉佐野市が多額の寄付を集めたことについて、「居心地の悪さを覚える」と述べた。これについて千代松市長は「真摯に受けとめたい」とした一方、「総務省はもっと早く法規制を進めるべきだった」と語った。

同市は6月上旬、ふるさと納税収入を理由に総務省が特別交付税を大幅に減らしたのは違法とし、大阪地裁に提訴した。最高裁判決を受けて総務省への損害賠償を請求する可能性について千代松市長は「検討はしたいが、損害額の算定が難しい」と慎重な姿勢を示した。

泉佐野市はかつて関西国際空港関連の投資が重荷になり、08年度決算で財政破綻の懸念があるとされる「早期健全化団体」に転落。11年就任の千代松市長はふるさと納税や公共施設の命名権売却など収入増に取り組んできた。実現しなかったが「飼い犬税」の導入を検討したこともある。

13年度決算で早期健全化団体からは脱却したが、今も地方債残高が多く厳しい財政状態が続く。新型コロナウイルスの影響で関空利用者が激減、今後も市政運営の環境は不透明だ。(塩田宏之)

◇     ◇

千代松大耕市長の記者会見での主なやりとりは以下の通り。

――判決をどう受け止めているか。

「高裁判決が全面敗訴だったので、最高裁で全面的に覆せるか自信がなかったが、ありがたく思っている。新型コロナウイルスで関西国際空港からのインバウンドが途絶え、市内の経済状況は悪化している。ほかの自治体がふるさと納税を活用していろいろな対策を打っているのに、当市でできないことが残念だった」

――地方自治にとっての意味合いは。

「地方の時代といいながら、紙切れ1枚、一方的な通知でアイデアの積み重ねを抑えつけようとするやり方が許せなかったから、最後まで総務省に抵抗した。これまで悔しい思いをしてきた自治体はたくさんあるはず。今回の判決は地方自治にとって新しい一歩につながると思う」

――通知に従わず過剰な返礼品を提供し続けたことについて、裁判官から「居心地の悪さ」という補足意見がついた。

「同様の批判、意見があることは従来から承知している。そういう状況になるのであれば、もっと早く法的な規制をしておくべきだった」

――今後の見通しは。

「判決によって、泉佐野市がふるさと納税の指定を受けられるわけではない。一日も早く復帰できるよう頑張っていきたい。法令を順守しながら、いままで培ってきたノウハウを活用して、『やっぱり泉佐野だな』と思ってもらえるようにする」

――返礼品について、地場産品に限定する、寄付額の3割以下に抑えるといった規制をどう考えるか。

「実際に参加してみて、おかしな点が感じられれば、同じ思いを持つほかの自治体と連携して意見を言っていきたい」

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