今日も走ろう(鏑木毅)

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少しずつ近くの山へ もやがかかった心に晴れ間が

2020/7/2 3:00
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先月から県境をまたぐ人の行き来もようやく緩和された。社会の雰囲気と感染リスクを見定めながら、少しずつトレイルランニングを再開してみたくて「手ごろな山はどこか」と地図を片手に思いをはせている。このところずっと、もやがかかっていたような心の視界にも晴れ間が差し込んでくるようだ。

日本の国土はおおむねどの都市圏でも日帰りで手近な森や山を楽しむことができる。それらの自然は繊細で変化に富み、幾度となく訪れたルートであっても毎回新しい発見があり飽きることがない。考えてみれば実にぜいたくな国に住んでいる。

山に行きたい、走りたい思いは募るばかり(滋賀県の山中)

山に行きたい、走りたい思いは募るばかり(滋賀県の山中)

混雑が必然的に予想されるようなよく知られたルートはできるだけ避ける配慮は必要だろうが、山を楽しめるフィールドは身近な場所にふんだんにある。反省を込めて顧みると、近年は富士山をはじめ特定の山域に山岳ブームが偏りすぎた感もある。

山岳4団体が山岳スポーツ再開のガイドラインを発表し、山でのマスク着用を推奨している。ただでさえ平地より呼吸が荒くなるのに、これからの暑い時期にはなかなか大変だ。とはいえ息が上がりやすい山中では口からの飛沫が気になるのも無理もない。

山道でのあいさつを胸に片手を当てて欧州の貴族のように軽くお辞儀をするようなスタイルにしてみてはどうだろう。以前、海外の山で強風に見舞われ、相手の声も届かない時、とっさにこんな表現でトレイル上のハイカーにあいさつすると、相手も同じポーズで応じてくれた。こんな一風変わったあいさつが日本の山の新しい文化になればおもしろい。

また、山小屋は単なる休息、宿泊場所ではない。登山者が山を安全に楽しむための登山道の整備など、山の環境を広く守る最前線基地としての大事な役目も担っている。

トレイルランニングを始めたばかりの頃、急な雷雨にあい飛び込んだ山小屋の主人が「大変だったね。でも山道は走りやすかっただろう?」と語りかけてきた。安全に登山ができるよう、2週間かけて植生状況を確認しつつ登山道のやぶの刈り払いを自分だけで行ったという。確かに山稜線にのびるトレイルの両脇には伐採したネマガリダケが刈り払われ快適にたどることができた。この作業をたった一人で行うのはさぞかし大変だったに違いない。

ところが今年は新型コロナウイルス感染のリスクから休業せざるを得ない山小屋も多い。休業を余儀なくされている小屋をクラウドファンディングで支援する取り組み「山小屋支援プロジェクト」が始まった。山の文化はまさに山小屋が守っていると言っても過言ではない。私も名を連ねさせていただいた。

富士山のように登山自体が禁止となっている山もある。今年ばかりは山行は慎重に計画し、むしろこれを機に近場にある山に目を転じてみてはいかがですか、とおすすめしたい。自分の力量に見合う山域を見つけ、自然の中に心身を委ねてみよう。手軽なリフレッシュ方法の一つとなること請け合いだ。

(プロトレイルランナー)

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