コロナ困窮につけ込むヤミ金横行 愛知で摘発相次ぐ - 日本経済新聞
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コロナ困窮につけ込むヤミ金横行 愛知で摘発相次ぐ

新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくなった人につけ込む「ヤミ金」が横行している。愛知県内では5~6月、違法な高金利で現金を貸し付けたとして、ヤミ金業者が相次いで摘発された。景況の悪化によって被害がさらに増える恐れがあり、警察や弁護士は注意を呼びかけている。

「新型コロナで仕事が減り、生活費の工面に苦労していた」。名古屋市中川区の男性会社員(26)は4月以降、2回にわたりヤミ金業を営む男から計9万8500円を借りた。愛知県警によると、利息は法定限度の4434円を大きく超える2万1500円。男性は10万円の特別定額給付金を見込み、「多少利息が高くても返済できると思った。同僚も給料が減っていたので金を借りられなかった」と話す。

県警は6月16日、このヤミ金業を営む男(61)=愛知県尾張旭市=を出資法違反(超高金利)などの疑いで逮捕した。男は同市や名古屋市のアパートのポストに「困ったとき、ご連絡ください」とのチラシを投げ込んでいた。一口3万円で実際には2万5千円を渡し、5千円の利息を回収する手口だった。

男から2万5千円を借りた別の男性会社員(68)は「収入減に新型コロナが追い打ちをかけ、生活費の穴を埋めたかった。景気が冷え込んでいるため友人にも借りられず、ポストのチラシを思い出した」と語る。

新型コロナを受けて個人や中小企業の資金繰りが急激に悪化し、そこにヤミ金業者がつけ込む事件が続発している。

5月には同県春日井市のヤミ金業を営む男(42)が逮捕、起訴された。男は50代の飲食店経営者に現金200万円を貸し付け、利息の法定限度は22万2千円にもかかわらず、140万円の利息を受け取る契約を結んだ疑い。飲食店経営者は新型コロナで資金繰りが厳しくなっていた。

県警の捜査幹部は「生活苦や経営難につけ込んだ悪質な手口だ。ヤミ金は支払いが困難になるまで被害届が出されないため、早期発見が難しい」と話す。臨時休業や業績悪化でヤミ金に手を出すケースが増えた恐れもあり、「潜在的な被害は多いはず。手を出してしまったら早めに相談してほしい」と呼びかける。

SNS(交流サイト)などを介した個人間の融資の誘いも増えている。

「借金せずに即日現金受け取れます!」。新型コロナの影響で、SNS上には「給料ファクタリング」の投稿がまん延する。給料をもらう権利を業者に売り、給料日より前に現金を受け取る仕組み。給料から高額な手数料が引かれ、実質的には「貸金業にあたる」(金融庁)とされる。金を貸す見返りに性的な行為を要求する「ひととき融資」の手口も目立つ。

過重債務に詳しい平井宏和弁護士は「ヤミ金で借りた金は雪だるま式に増え、すぐに行き詰まる」と指摘する。返済できなくなる前に弁護士らに相談し、法的整理を検討するよう呼びかけるとともに、「生活困難者を救済するため、行政は給付金などの交付の手続きを速やかに進めるべきだ」と話している。

(林咲希)

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