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立ち姿は東京タワー 渋野、新スイングお披露目も…
編集委員 串田孝義

2020/7/2 3:00
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日本ゴルフ協会の主催試合は別として、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)公認のツアー競技として史上初めて予備日の月曜(6月29日)に最終決着がもつれ込んだアース・モンダミンカップ。主役となるのを期待された全英女王、渋野日向子はその決戦の舞台に姿はなかった。

アース・モンダミンカップ2日目、グリーン上で浮かない表情の渋野=ゲッティ/JLPGA提供

アース・モンダミンカップ2日目、グリーン上で浮かない表情の渋野=ゲッティ/JLPGA提供

予選2日間を72、74の2オーバーで、予選通過に1打及ばなかった。初日の5番で激しい雨のなか、移動したボールマーカーを戻すのを忘れてプレーし2罰打。「これからのゴルフ人生、戻さなかったことは絶対に忘れない」と肝に銘じたのはご愛嬌(あいきょう)として、2日目、スコアメークの基本中の基本であるパー5でダブルボギー、ボギー2個をたたくふがいなさには自分自身にあきれるしかなかった。

昨年9月の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯の苦戦ぶりと内容はよく似ている。イーブンパーかそれより良いスコアでのラウンド連続記録が「29」で途切れた同大会2日目。風の影響もあってショットの不調を来たし、パーオン率が67%に低下、グリーン周りの深いラフに入れ、アプローチの技術不足という弱点を露呈して75をたたいた。

コーチや「チーム」の不在が響く

オフの間、猛特訓と呼べるほどウエッジの練習を積んできたというが、今回も苦戦の理由はショットの不調にほかならない。初日は雨、2日目は風と悪条件の下、昨年よりスタンス幅を狭めた新スイングから放たれた渋野の打球は狙い通りにピンの根元を差すことができなかった。

昨年の渋野の立ち姿をパリのエッフェル塔とするなら、今季は足元が狭まり、東京スカイツリーとまではいかないが、さながら東京タワーのよう。新スイングのお披露目としては今大会の予選はあまりに気象条件が厳しく、試合の中での微修正が追い付かなかった。

昨季よりスタンス幅を狭めた渋野のスイング=ゲッティ/JLPGA提供

昨季よりスタンス幅を狭めた渋野のスイング=ゲッティ/JLPGA提供

新型コロナウイルス対策で、コースに入場できるのは選手とキャディーのみ。コーチ、トレーナー、家族、クラブメーカー担当者など精神的にも頼れる「チーム」の仲間が不在。とりわけ渋野にとっては全英女子優勝をキャディーとして支えてくれた参謀役、青木翔コーチがそばにいなかったのが響いたに違いない。

「無観客でも試合は試合。やっぱり緊張はした」。雨にせかされて犯したルール違反で、自分が緊張しているのを自覚させられた。これは渋野という選手の魅力の一つなのだが、この人は動揺を隠せない。昨季は正念場でティーショットの打順を間違えたことも。父に諭されたという感情の起伏をオブラードに包むシンデレラ・スマイルを忘れることだってある。ただ、その方が人間らしい。

2日目、インスタート前半の締めくくりとなる18番、左足下がりのライで無謀なロブショットを試みてミス、パー5で痛恨のボギー。キャディーには「もっとましなアプローチを見せようと思ったのに」と謝った。そして後半、6、8番のボギーはいずれもウエッジの52度を選択、寄せきれなかった。

昨季までの58度一本やりの寄せから技術の幅を持たせたオフの特訓の成果を出したい、その一心。「試合でやらないと技術は自分のものにならない。試合でできなきゃ意味がない」。鉄の意志は立派。ただ、試合運びにおける心理マネジメントとしてはどうか。大会前に語った目標は「まず予選通過。思い切りいくのは予選を通ってから」のはずだった。

冷静さを失っていたのも事実。それでも失敗を糧にもう一段の飛躍をめざす長期的視野に立てば、今回の予選落ちという結果はもちろん、オフの間の特訓、スイング改造の取り組みの成否がわかるのはまだ先。前年優勝者として出場を熱望する全英女子オープンはこれまで体験したことのない英スコットランドのリンクスコースだ。

ネット中継でビジネスモデルに一石

4カ月遅れとなった女子ツアーの開幕戦は感染症対策を施した上で行われ、ギャラリー、メディアはコース内に入れず無観客試合とし、選手、キャディーら限られた入場者は全員がPCR検査を受けて陰性を確認した。通常なら設置されるギャラリースタンドも不要、運営のボランティアも募集せず大会を主催するアース製薬の社員でまかなった。開催費用は全体で減ったという同社の大塚達也会長は「(PCR検査など)感染対策にかかったのは1000万円ちょっと。軽微な負担」と述べた。

また、今大会は4日間すべてをインターネットで生中継した。テレビ放映も検討した上で、感染症対策のために撮影スタッフがより少なく済む選択をした。何よりも自社で制作した4日間のライブ映像を「作品」と呼ぶなどトーナメントへの熱き思いを抱く大塚会長は「テレビでは親会社にもお願いしてCMを入れるなどお金がかかる。そこまでしてもせっかくの作品は自分たちの手元になく、テレビ局のもの」。テレビ局の番組コンテンツとして成長したゴルフの国内ツアーのビジネスモデルに一石を投じた形だ。

アース・モンダミンカップは大雨で日曜の最終ラウンドが月曜に順延となった=ゲッティ/JLPGA提供

アース・モンダミンカップは大雨で日曜の最終ラウンドが月曜に順延となった=ゲッティ/JLPGA提供

テレビ放送を肝とした通常のツアー競技であれば、最終日の月曜順延も難しかったのは間違いない。感染症の問題がクローズアップされた今大会だが、初日早朝に開催県を襲った震度5弱の地震、昨年10月の男子のZOZOチャンピオンシップ(千葉)に次ぐ月曜順延を余儀なくされた大雨と、試合開催に天災が及ぼす影響も無視できなくなっている。前年踏襲を当たり前とせず、天候不順を考慮したツアーの日程、開催地の選定を考える時期が来ている。決まった番組枠で柔軟性を欠くテレビ放送はこのまま、ますますゴルフに不向き、ということになるのだろうか。

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