タンチョウ、飼育員に恋心 求愛ダンス見せ抱卵任せる

北海道
2020/6/30 9:27
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北海道釧路市の阿寒国際ツルセンターで飼育されている雌のタンチョウ「ムック」が、男性飼育員に思いを寄せる姿が「愛らしい」と人気を集めている。求愛ダンスをしたり、本来はつがいで交代して行う抱卵を任せたり。専門家は「人工飼育され、自分を鳥だと認識していない可能性がある」と分析する。

タンチョウの「ムック」に話し掛ける、飼育員の近藤政治さん(5月、北海道釧路市)=共同

タンチョウの「ムック」に話し掛ける、飼育員の近藤政治さん(5月、北海道釧路市)=共同

「卵温めておくから、ごはん食べに行っていいよ」。6月中旬、同センターの飼育員、近藤政治さん(60)がケージの中に入り話し掛けると、ムックが羽を動かして応えた。様子を見ていた札幌市厚別区の男性(66)は「人懐っこくてかわいい」と笑顔を見せた。

ムックは2002年に同センターで誕生した。野生に戻すため職員がタンチョウの衣装を着て飼育していたが、生まれてすぐに病気で瀕死(ひんし)の状態に。緊急治療が必要になり、衣装での飼育を断念した。

ムックとの出合いは、近藤さんが給餌担当として勤務し始めた10年。出合ってすぐに、くるくると体を回すなどする求愛ダンスを見せるようになったという。

パートナーのいない雌が産卵することは多くないが、ムックは11年から毎年卵を産むようになった。他の動物や人が近づくと威嚇するが、近藤さんがケージに入ると卵から離れ、水を飲んだり餌を食べたりする。

近藤さんは「ムックに『卵をちょっと見てて』と任されたように感じて、自然と抱卵を交代するようになった」と振り返る。産卵後に偽の卵に替えて有精卵かどうかを調べるが、ムックはケージ内にタンチョウの雄が来ても追い払うため、これまではいずれも無精卵だったという。

タンチョウ保護研究グループ(釧路市)の百瀬邦和理事長(68)は「タンチョウは本来警戒心が強く、野生ではあり得ない行動だ。人工飼育されたムックは、人間の近藤さんをパートナーだと思っているのだろう」としている。〔共同〕

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