WTO、パネル設置見送り 日韓の輸出管理紛争

日韓対立
2020/6/29 22:46 (2020/6/30 0:50更新)
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世界貿易機関(WTO)は29日、日本の対韓輸出管理の厳格化を巡って韓国が求めた紛争処理小委員会(パネル)の設置を見送った。日本が拒否したためで、韓国が再び設置を要請すれば、次回の7月のWTO会合で設置が決まる見通しだ。

WTOは同日開いた紛争処理機関(DSB)の会合で、裁判の「一審」にあたるパネル設置の是非を協議した。

日本は韓国がパネル設置を要請したことについて「遺憾」と表明した。軍事転用の恐れなどの問題がある貨物や技術を規制することは、WTOのルールで認められていると改めて主張し、「韓国が近い将来に対話の席に戻ることを期待している」と述べた。

WTOのルールでは、訴えられた国は1回のみパネル設置の拒否権を行使できる。韓国が提訴を取り下げなければ、7月の次回会合で再び協議する可能性が高い。2回目は全加盟国が反対しない限り採択されるため、設置が決まるとみられる。その後、紛争を裁く「パネリスト」が選定され、審理が始まる。

たとえ審理入りとなっても最終的な結論が出るまでには、少なくとも1~2年以上はかかりそうだ。パネルは原則6カ月以内に判断を出す決まりだが、近年は1年を超えるケースも多い。

この判断が不服なら「最終審」にあたる上級委員会に上訴できる。現在、上級委は人員不足で機能が停止しているため、このままの状態が続いていれば審理ができなくなる。

今回の日韓の案件は論点も難しい。日本は安全保障上の懸念から輸出管理を厳格化したと訴えている。WTOのルールでは安保が理由であれば例外で規制が認められている。

一方、WTOには加盟国間の差別を禁じる「最恵国待遇」の原則がある。韓国は日本の措置は輸出入の数量制限を禁じるルールに違反しているなどと主張しそうだ。

日本は2019年7月、半導体材料などの3品目の対韓輸出管理を厳格化した。これに反発した韓国は9月にWTOに提訴したが、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の維持とともに、WTO手続きを11月に中断した。その後も日韓当局間は政策対話で解決策を探ってきた。日本は措置の撤回に応じなかったため、韓国はWTO手続きを再開していた。

(ジュネーブ=細川倫太郎、杉原淳一)

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