医療現場、コロナ対応で精神ケア 「燃え尽き」も警戒

2020/6/29 18:04
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東京医科歯科大学病院のメンタルヘルスケアチームの精神科医ら=同病院提供

東京医科歯科大学病院のメンタルヘルスケアチームの精神科医ら=同病院提供

新型コロナウイルスの医療現場で医療従事者の精神的ケアが重要になっている。患者の死や感染の不安など過酷な状況にさらされ、心身に不調をきたすケースがあるほか、流行が小康状態となった現在は「燃え尽き症候群」対策も欠かせない。第2波への懸念もくすぶるなか、長期的な支援体制が求められている。

「患者数は落ち着いてきたが、不眠など比較的重い不調を訴える職員がいる」。重症や中等症の新型コロナ患者を受け入れる首都圏の大規模病院で職員のメンタル対策を担当する看護師は危機感を募らせる。

2月から患者を受け入れ、一時は連日のように重症患者が搬送されて専用病床が埋まった。医師や看護師は夜の呼び出しも多く、患者が複数死亡する日があるなど気が張り詰める局面が続いた。

書面で質問に答えてもらい心理状態を数値化する「ストレスチェック」をこれまでに2回実施。3~4月に行った2回目は全体的に点数が上がり、約10人に心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥る恐れがある「高ストレス」判定が出た。不眠や食欲低下に悩む人が増え、ウイルス対処の経験が少ない若い職員や技師らで点数が高い傾向があった。

勤務中にパニックになる職員も出たため、病院は「最前線」で働く職員を一定期間で入れ替える仕組みを導入した。5月からは全職員を対象に精神科医が個別面談を行っている。

重症患者が減った現在、特に警戒するのは「燃え尽き症候群」だ。緊張の糸が緩み、反動で無気力な状態に陥ることがある。海外の医療現場でも問題化しており、メンタル対策担当の看護師は「そろそろ兆候が出てもおかしくない。職場が一丸となって気を配る必要がある」と警戒する。

東京医科歯科大病院(東京・文京)は4月、精神科や臨床心理士がいる緩和ケア科など部門横断の「メンタルヘルスケアチーム」をつくった。約20人のメンバーが中心となって清掃員らを含む全職員と面談し、1千件以上の相談に対応した。

若林健二・病院長補佐は「医療現場は使命感を持って働く職員が多く、不満や弱音を話しづらい傾向がある」と指摘。「新型コロナ対応に従事することで偏見や差別にもさらされている職員もいる」と話す。

日本医療労働組合連合会(東京・台東)が4月下旬までに実施したアンケート調査では、回答した医療従事者の約19%が、新型コロナに関連する病院職員への差別やハラスメントがあるとした。他の病棟の職員から「同じ場所で更衣したくない」と言われたケースなどが報告されている。

筑波大医学医療系の高橋晶准教授(災害・地域精神医学)は「医療従事者の心の健康を守るには継続的なケア体制が欠かせない。病院の経営層や管理職が、働き手を率先して守る姿勢を示すことが安心感につながる」と話している。

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