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Bリーグ、アジア展開本格化 各国の若手逸材が加入

2020/7/1 3:00 (2020/7/1 19:53更新)
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バスケットボール男子Bリーグのアジア展開が本格化する。今秋開幕の来季から初採用される「アジア枠」を活用し、B1(1部)三遠がフィリピン代表を獲得。韓国期待の若手もB1信州に入団した。両国を含む東アジアで熱狂的な人気があるバスケット。Bリーグは競技レベルの向上だけでなく、アジアへの市場拡大や運営ノウハウの提供を通して存在感を高めることで、米プロNBAに次ぐリーグへと成長する足がかりにしたい考えだ。

アジア枠第1号で三遠に入団したフィリピンのサーディ・ラベナ(右)。同国のアテネオ・デ・マニラ大学でチームを3年続けて国内チャンピオンに導いた(本人提供)

アジア枠第1号で三遠に入団したフィリピンのサーディ・ラベナ(右)。同国のアテネオ・デ・マニラ大学でチームを3年続けて国内チャンピオンに導いた(本人提供)

「Bリーグはすごく発展していると聞いていたので、プレーが楽しみ」。6月26日、フィリピンからオンラインで三遠への入団会見に臨んだサーディ・ラベナ(23)は髪をチームカラーの赤に染め、生中継で見守ったファンに笑顔で抱負を語った。

189センチ、97キロと筋肉質で、俊敏性や跳躍力にも優れた攻撃的なガード。バスケットが国技という同国の大学で3年続けて国内王者に輝き、世界ランキング31位の代表チームでも活躍している(日本は同40位)。自らブランドを展開し、インスタグラムのフォロワーが約29万人いるスターとあって、会見には同国から10を超えるメディアも参加。注目の高さをうかがわせた。

そんな逸材が三遠に入団するきっかけになったのがアジア枠。フィリピン、中国(世界ランク28位)、韓国(同30位)、台湾(同65位)、インドネシア(同92位)の選手が対象で、他の外国籍2人と同時にコートに立つことができる。

制度導入の狙いにぴったりの選手

フィジカルを押し出すラベナのプレーは大半の日本選手と異なり、三遠の地元の浜松市や愛知県豊橋市には多くのフィリピン人が暮らす。制度導入時にリーグが掲げた狙いは「多様な選手との対戦による日本選手の競技力向上」と「アジア市場でのマーケティング、スポンサー獲得」――。まさに狙い通りの選手といえる。

獲得を熱望した三遠の北郷謙二郎社長が「ビジネス面でもこんな機会はない」と語るように、東アジアでのバスケット人気は際立っている。昨年9月にB1の4クラブと中国、韓国、フィリピンの計12クラブが参加した国際大会のインターネット視聴者数はフィリピンが日本の10倍、中国は同100倍と桁違いだ。

Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌がタイの有名選手を獲得し、スポンサー収入や同国からの観光客を増やした実績もある。次回のバスケットのワールドカップは2023年に日本とインドネシア(両国は1次リーグのみ)、フィリピンの共催が決定済み。北郷社長はこうした事情も念頭に「スポンサーや地域をフィリピンに知ってもらうきっかけになる。リーグとも協力して露出を頑張りたい」と両国の橋渡し役を目指す。

信州には韓国のホープが入団

来季からB1に昇格する信州もこのほど、アジア枠で韓国出身の梁宰珉(21、ヤン・ジェイミン)との契約を発表した。201センチのフォワードで年代別代表の主将を経験。直近は米国でプレーし、全米大学体育協会(NCAA)の強豪からも誘いを受けたというホープだ。

一方、日本からは18年アジア大会代表でB1京都に在籍したガード中村太地(23)の韓国プロリーグKBL原州への移籍が決まった。Bリーグは開幕した16年からKBLと交流を続け、昨春には両リーグ間でのアジア枠などに関する覚書を締結。中村はKBLがこの制度を使った第1号となった。

日韓両リーグのアジア枠などの覚書に調印し、笑顔を見せるBリーグの大河正明チェアマン(右)とKBLの李廷大コミッショナー(2019年5月)

日韓両リーグのアジア枠などの覚書に調印し、笑顔を見せるBリーグの大河正明チェアマン(右)とKBLの李廷大コミッショナー(2019年5月)

新型コロナウイルスの影響で今季は途中終了を余儀なくされたものの、Bリーグは右肩上がりで事業規模を拡大してきた。既に一部のクラブではホームゲームで満員が続き、アリーナ新設の動きもある。

「日本の子供が目指す舞台になることが『第1フェーズ』。次は東アジアが憧れる場を目指したい。BリーグはNBAに次ぐリーグになれる可能性が十分にある」とBリーグの国際グループ担当者。アジアでは現在、中国リーグが競技力でも選手年俸でもBリーグの上をいくが、NBAを除いた世界各国のリーグでは一部のオーナーが幅をきかせたり、赤字が続いたりとガバナンス(統治)が欠けた運営も珍しくない。

かくいう日本も2リーグ分裂時代を経てBリーグが生まれ、リーグとクラブが同じ方向を向いて発展する現在の仕組みに落ち着いたという歴史を持つ。この間に培った運営ノウハウが旧態依然とした運営を続ける世界の各国リーグには新鮮に映るといい、同じくアジアを重視する国際連盟(FIBA)からも期待が寄せられている。

アジア枠導入に当たっては各国・地域から自リーグの空洞化を警戒する声も強かったが、「選手の移籍だけの点と点の関係ではなく、両国のクラブやリーグが相互にスポンサーを獲得し、代表戦を開催できる関係を目指すと丁寧に説明した」とBリーグの担当者は振り返る。

6月末から3期目に入り、FIBAアジアの理事やマーケティング委員も兼務する日本協会の三屋裕子会長も「今は中国がトップを走っているが、日本がアジアのてっぺんだというイメージでアジア戦略を考えている」と今後もリーグと協調していく方針だ。まずはアジア枠で入団する選手やクラブをサポートしながら各国と共存共栄できるモデルを積み上げることになりそうで、放映権ビジネスといった「大きな果実」はその先。長い目で存在感を高めていくつもりだ。

(鱸正人)

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