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打てるユーティリティー栗原、常勝タカ軍団に新風

2020/6/30 3:00
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プロ野球で3年ぶりのペナント奪還と4年連続の日本シリーズ制覇を狙うソフトバンクに新たな力が台頭している。高卒6年目の栗原陵矢(23)だ。初めての先発出場を勝ち取った開幕戦でサヨナラ打を放つと、その後も安打を量産し、随所で勝負強さを発揮している。捕手、一塁、左翼をこなす「打てるユーティリティー」ぶりを武器に、常勝軍団に新風を吹き込んでいる。

19日のロッテ戦でサヨナラ打を放った栗原(31)を迎えるソフトバンクナイン=共同

19日のロッテ戦でサヨナラ打を放った栗原(31)を迎えるソフトバンクナイン=共同

「2番・一塁」で起用された19日の開幕戦。硬さがとれた八回に初安打を放つと、次の打席は1-1の延長十回2死三塁で回ってきた。あっさり追い込まれながら速球を中前にはじき返し、サヨナラの走者を迎え入れた。采配的中の工藤公康監督は「こういう状況じゃなければ抱きしめてあげたい。新しい力が芽生えていることを見ていただけてうれしい」と大喜びした。

開幕スタメンが確実視されていた栗原だが、2番という打順は「考えていなかった」という。しかも十回の打席は九回に抑えの森唯斗が失点しなければなかったはずのもの。幾つもの偶然が重なり、最高の見せ場が回ってくるのだから、引きが強い。

その殊勲がまぐれでなかったことはその後の活躍が証明している。3試合目からはほぼ1番に座り、28日まで全試合に出場。パ・リーグトップタイの14安打を積み重ね、打率は同7位の3割5分9厘、9打点は3位タイ。新米レギュラーとは思えぬ堂々たる成績だ。

軸がぶれず、パンチ力のある打撃は以前から高い評価を受けていたが、分厚い選手層に出場機会を阻まれてきた。本業の捕手には球界最高峰の強肩を誇る甲斐拓也がいる。一塁には実績豊富な内川聖一に中村晃。左翼にはこのオフ、4番候補のウラディミール・バレンティンが移籍してきた。春季キャンプではレギュラーは遠く、1軍定着が現実的な目標に思われた。

しかし思わぬ追い風が吹く。新型コロナウイルスの感染拡大でアルフレド・デスパイネ、ジュリスベル・グラシアルがキューバから来日できなくなり、打線にぽっかり穴が開いた。不振の内川、体調に不安のある中村晃がもたつく間、オープン戦や練習試合で打ちまくり、狭き門を突破した。

栗原(左)は好調な打棒に加え、守備でも多才ぶりを発揮=共同

栗原(左)は好調な打棒に加え、守備でも多才ぶりを発揮=共同

好調な打棒に加え、存在価値を一段と高めているのが、そのユーティリティーぶりだ。一塁守備はソツがなく、西武との6連戦ではマスクをかぶり、左翼での先発出場も果たした。「いつでも捕手をやれる準備をしておいてくれとコーチ陣にも伝えてある。一塁だけ、外野だけにならないように。一塁からでもベンチにいても配球は学べる」と工藤監督。融通無碍(むげ)な選手起用でベンチ入りメンバーの戦力最大化を図るのがホークスの野球。どこにでもはまる栗原は貴重なカードだ。

栗原は「全部出る気でいる。一試合一試合戦っていきたい」と言い切る。誰の代わりにでもなれる栗原だが、栗原の代わりになれる選手はそうそういない。多才な若武者の台頭は多くのナインに刺激を与え、チームを活性化する。キューバ勢やベテラン勢が戻ってきても、いまや欠かせぬ存在になった。

(吉野浩一郎)

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