都立学校29日全面再開 消毒や掃除…教員の負担重く

2020/6/29 11:01 (2020/6/29 15:50更新)
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全面再開した都立高校で授業を受ける生徒とフェースシールドを着用した教員(29日午前、東京都杉並区)

全面再開した都立高校で授業を受ける生徒とフェースシールドを着用した教員(29日午前、東京都杉並区)

新型コロナウイルスの感染拡大で登校時間や生徒数を制限する分散登校が続いていた東京都立学校が29日、全面的に再開した。学校運営ガイドラインはあるが、消毒作業や部活動の実施など運用は各校の判断次第で教員の負担も重い。都内の新規感染者数が1日50~60人前後で推移する中、手探りのスタートとなる。

東京都立西高校(杉並区)では29日午前8時すぎ、マスク姿の生徒ら約960人が次々と校門をくぐった。2年の女子生徒(16)は「新しいクラスの同級生となかなか顔を合わせられなかったので、会えるようになりうれしい」と声を弾ませた。

英語の授業では生徒が互いに距離をとって小声で発音練習。机の間隔を空け、消毒液も常備する。別の教室ではフェースシールドを着けながら古文を教える教員もいた。

同校は授業を1コマ5分短縮して下校を早め、ラッシュ時間を避ける時間割を組んだ。1年の男子生徒(16)は「今までは登校しても、2コマ程度しか授業がなかった。いよいよ7コマ受けられる」と笑顔。萩原聡校長は「3学年そろうのは4カ月ぶり。活気が戻ってうれしいが、感染対策はまだ手探り」と話した。

都立校は6月1日から生徒数を絞り、登校日や在校時間も減らす分散登校を続けてきた。感染状況は一時のような急拡大には至っておらず、29日から全員が週5日登校する通常体制に戻した。

全面再開し、登校する都立高校生(29日午前、東京都杉並区)

全面再開し、登校する都立高校生(29日午前、東京都杉並区)

「教員の疲れがたまっている。全面再開にどう対応すればいいのか」。都内のある小学校は毎日終業後、教員総出で校内の消毒に当たる。全面再開後は「授業の準備など負担も増え、同じ対応は続けられない」と同校の管理職は頭を抱える。

別の小学校でも児童に任せていた校内の掃除を教員らが担う。掃除用具を使い回す感染リスクを懸念したためだ。ある教員は「通常業務のほかに感染症対策もある。休み時間も児童が『密』にならないように見守らないといけない。休みがない」とため息をつく。

都は5月、学校での新型コロナ対策ガイドラインを策定し、校内の消毒や定期的な換気などを学校側に求めた。身体接触や飛沫感染の恐れがない範囲で部活動も6月15日に再開し、29日からは大会参加や全体練習なども可能になった。

都内の高校合唱部は15日から練習を再開。マスクを着け、互いに向き合わずに歌うが生徒から「息苦しい」との声も。ガイドラインでは具体的な練習方法は示されず、担当教員は「どうしたら十分な対策なのか分からず、各学校がやり方をうかがっている」と話した。

一斉休校の解除後、児童・生徒や教員など学校での感染も起きている。

北九州市では小中学校や特別支援学校で複数の児童・生徒らの感染を確認。同学級の児童6人によるクラスター(感染者集団)が発生したとみられる小学校もあった。都内の学校でも教員らの感染が複数判明。学年閉鎖などの対応をとった。なお予断を許さない状況が続いている。

日本女子大の清水睦美教授(教育社会学)は「新たな業務が増えるため、人手を増やさないと当然現場は回らない。業務を分担できるよう、行政は失業者の短期間雇用などを含めて検討すべきだ」と指摘。教員への負荷が高まった結果、「先生が怖い」と話す児童・生徒らもいるという。

新型コロナが教育現場の課題を浮き彫りにしたとして「しわ寄せは子どもにいく。第2波、第3波に対応するためにも現在の教育の質、仕組みを根本的に見直す必要がある」と話した。

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