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文化芸術活動に支援金 個人に最大20万円、7月にも

(更新)

新型コロナウイルス感染拡大で活動自粛をした芸術家らを対象にした文化庁の支援策の詳細が分かった。フリーランス1人に最大20万円などの給付を7月にも始めるほか、観客も寄付を通じ支援に関われる仕組みをつくる。

新型コロナの影響で、公演中止を余儀なくされた舞台芸術などの活動は窮地に立たされている。芸術関係団体を束ねる文化芸術推進フォーラム(東京・新宿)によると、2月末に政府が大規模イベントの自粛を要請してからの3週間で約5600回の公演が中止。損失は推計で約522億円にのぼるとみられる。

同庁は2020年度第2次補正予算に文化芸術活動の支援策を盛り込んだ。フリーランス約10万人に1人最大20万円、20人以下の小規模団体には最大150万円を支給する給付金制度が柱。このほか、20年度第1次補正予算では劇場や博物館などの感染症対策に1施設あたり最大400万円を支援することも盛り込んでいる。支援総額は500億円に上る。

給付金などは、音楽、演劇、映画、雅楽や能楽、歌舞伎など日本の伝統芸能、漫談・漫才などの表現者らに支給する。サーカスや大道芸、DJなど同庁が従来は支援対象としてこなかった分野にも広げる。

申請要件も緩める。日本芸能実演家団体協議会(東京・新宿)が4月中旬、フリーランスの芸術家ら2905人を対象に実施した調査では「新型コロナにより仕事がキャンセルになったと証明できる書類がない」との回答が3割を超えた。慣例上、電話や口頭で決まる仕事も多いという。

経済産業省の持続化給付金は減収を証明できないと申請できないケースがある。文化庁は「統括団体からの事前確認証」があれば支援を受けられるようにする。統括団体に所属しない場合のみ、活動歴と事業収入証明書の提出が必要となる。

近く、無料通話アプリ「LINE」の公式アカウントを新設し、どのような支援を受けられるかをアプリ内で確認できる仕組みをつくる。申請手続きもLINEを通じてできるようにする。

観客も支援に直接関われるようにするため、減税措置を設ける。中止されたイベントのチケット代を払い戻さずに主催者に寄付すると、2千円を引いた額の4割が所得税から減額される仕組みだ。

既に払い戻しが済んだチケットも、主催者に寄付の連絡をすれば減税措置を受けられる。6月末時点で劇団四季の公演など700以上のイベントが対象になっている。

文化芸術活動への支援は欧米でも広がっている。ドイツが1200億円規模、英国が216億円、米国が83億円、フランスが26億円の拠出を決めた。日本はドイツに次ぐ規模の支援を展開することになる。

ある芸術団体の関係者は「新しい生活様式で行う公演は観客数を減らさざるを得ず、採算がとれなくなる恐れがある」と指摘。「ジャンルによっても状況は異なるので、しゃくし定規に当てはめようとせずに実態に合った支援を展開してほしい」と訴えている。

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