独ワイヤーカード監査のEY、預金を3年精査せず FT報道

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2020/6/27 4:11 (2020/6/27 5:49更新)
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【ロンドン=篠崎健太】独フィンテック企業ワイヤーカードの不正会計疑惑で、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は26日、会計監査を担当していたアーンスト・アンド・ヤング(EY)が預金残高の十分な確認を3年間怠っていたと報じた。監査法人による裏付け調査の不徹底が問題拡大につながった可能性がある。

FTによるとEYは2016~18年、ワイヤーカードがシンガポール大手のオーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)の口座に持つとされた最大10億ユーロ(約1200億円)について、銀行側に直接の確認を取っていなかった。資産の受託者や同社が提供した書類、画面コピーなどで手続きを済ませていたという。事情を直接知る関係者が証言した。

ワイヤーカードは18日、EYから19億ユーロの残高が確認できないと通告されたと発表し、資金消失疑惑が表面化した。実際には存在しないことが濃厚となり、債務超過が避けられなくなったとして25日に破産手続き入りを表明した。フィリピンの大手2行の口座にあったとされる資金は、19年にシンガポールから移されたものとみられていた。

EYはワイヤーカードの会計不正疑惑について「世界の複数の機関が関与した、入念かつ巧妙な詐欺行為だ」との声明を25日に出していた。「最大限の強固な監査手続きでもこの種の不正は見つけられないだろう」と弁明したが、監査プロセスの適正性に今後メスが入るのは避けられない。

投資家からは、早くも監査法人の責任を追及する動きが出ている。ドイツの個人投資家団体SdKは26日、EYの新旧の担当者3人を刑事告発したと明らかにした。銀行残高の確認という基本的な監査作業に不手際があったと指摘した。株価指数DAXを構成し有望とされた企業のスキャンダルで「ドイツの株式文化が永久に損なわれる」と批判した。

日本経済新聞は銀行残高の精査が不十分だったとの報道についてEYにコメントを求めたが、回答は得られていない。

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