東京、経済と感染対策の板挟み 自粛要請基準作り難航

2020/6/26 22:17 (2020/6/27 5:14更新)
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東京都の新型コロナウイルス対策で、感染の「第2波」に伴う経済活動の自粛をどう呼び掛けるかの議論が進まない。判断の目安として新たな基準を検討中だが、厳しすぎると経済が萎縮し、緩すぎれば大流行を招きかねない。都と医療関係者の主張の違いは大きい。

「専門家は第2波ではないと分析している」。5月25日の緊急事態宣言の解除後、2番目に多い54人の感染者が26日に確認されたことについて、小池百合子知事は急激な増加ではないとの認識を改めて示した。

都内では3月下旬ごろから感染者が急増。5月に入って減少したが、宣言解除後は再び増加に転じ、都は6月2日に独自の警戒情報「東京アラート」を出した。主な指標は「新規感染者が20人以上」「感染経路不明者の割合が50%以上」「週単位の感染者数が増加」の3つ。11日にいずれも目安を下回り、解除した。

都は経済活動の回復を図るため、解除後にアラートを見直している。従来の基準を厳格に当てはめると経済の混乱を招く恐れがあるとの判断があるが、感染者は解除後も連日20~50人台で推移している。感染経路不明者の割合を除く2指標はアラートの目安を上回り、従来なら再び発動されてもおかしくない状況だ。

関係者によると、都は基準を見直す中で感染経路不明者の割合を重視。濃厚接触者らの集中的な検査で急増する可能性がある感染者数に左右されず、市中感染の状況を見極めながら総合判断したい考えだ。都幹部は「経済活動を足踏みさせる自粛は求めたくはない。柔軟に運用したい」と、警戒呼び掛けも回避したいとの意向を示す。

背景には都内の医療提供体制もある。コロナ患者向けの病床は1000床あるが、入院患者は26日時点で223人。750の病床に対して入院が必要な患者が800人以上になり、入院待機者が発生した4月初めの状況とは異なる。

重症患者向けの集中治療室(ICU)の病床も26日時点で100床確保しており、患者数は17人。最も重症患者が多かったのは4月28、29日の105人で、都によると当時はICUで400床を用意していた。PCR検査の1日の処理能力も現在は3千件と4月初めの10倍で、都幹部は「経済活動に軸足を置いても、医療崩壊を防げる体制は整いつつある」とする。

ただ、足元では新規感染者のうち感染経路不明者の割合は4割を超えた。アラートの見直し作業に加わる医療関係者からは「第2波の懸念が強まっている」「データに基づいた判断をすべきだ」などの意見が上がっており、議論が難航している。6月中の予定だった新基準の公表は7月にずれ込む見通しだ。

国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「経済活動を維持しながら感染拡大を防ぐには、早い段階で自治体がアラートを出して市民に注意喚起を行うことが大事だ」と指摘。その上で東京アラートについて「数値目標は分かりやすいが、市民は何に注意すればいいか分からず困惑してしまう。どの地域や場面で感染予防の強化が必要かを具体的に示すアラートならば効果的だろう」と話している。

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