NHK契約義務認めず 視聴不可テレビ巡り東京地裁
NHK放送を視聴できないテレビを自宅に置く東京都内の女性が、受信契約を結ぶ義務がないことの確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁(小川理津子裁判長)は26日、請求を認めた。同種訴訟でNHKが敗訴するのは初めて。
判決によると、女性は受信料制度に批判的な立場で、NHKの放送信号を弱めるフィルターを作っていた大学准教授と連絡。准教授はテレビにフィルターを設置し、3千円で女性に販売した。
NHKはテレビの構造上は放送を受信できる機能が保たれており、「受信できる状態に復元することは容易だ」と指摘。電波を増幅するブースターの取り付けなどで受信可能になると主張した。
判決理由で小川裁判長は「ブースターとそれに伴う設備にかかる費用は5千円以上で、このテレビの価格を超えている。そのような出費をしなければ受信できないテレビは、NHKを受信できる設備とはいえない」と述べた。
NHKによると、同種訴訟は過去に4件あり、1件で訴えが取り下げられ、3件で原告の敗訴が確定した。NHK広報局は「判決の内容を精査して、今後の対応を検討する」としている。