みお綜合法律事務所、法律相談オンラインで
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関西タイムライン
2020/6/29 2:00
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ファイル共有やチャット機能を駆使して法律相談を受け、遠方の顧客の開拓も目指す(神戸市)

ファイル共有やチャット機能を駆使して法律相談を受け、遠方の顧客の開拓も目指す(神戸市)

「書き換えてみましたが、どうですか?」。弁護士がパソコンで書類を修正すると、画面の向こうで顧客が修正内容を確認する。

「みお綜合法律事務所」(大阪市北区)は3月下旬から、ウェブ会議システムによる法律相談をスタートさせた。同事務所の神戸支店に在籍する石田優一弁護士は、口頭でやりとりをしながらチャット機能で会議の記録を残す作業を「対面よりも言葉の行き違いがなく、スピーディーに進められる」と語る。

新型コロナウイルスの感染拡大が表面化して以降、ウェブ会議は企業などではもはや珍しい風景ではない。だが「紙の書類と対面」が原則の法曹界では、積極的にオンラインで顧客に対応する法律事務所はまだ少なく、弁護士の働き方やキャリア形成がここから変わるという期待感がある。

実は事務所にオンライン相談を提案したのは、サイバーセキュリティーの国家資格を持つ石田弁護士だ。「セキュリティーの仕事を増やしたい」と将来展望を持っていたが、神戸支店周辺では需要が少なく、オンラインで遠方の顧客を開拓できれば、得意分野で経験を積めると考えた。

企業向けの法律相談を増やしたい事務所の方針もあり、1年前からツールの選定、運用ルールの作成などの準備を進めてきたが、コロナ禍をきっかけに実用化のチャンスがやってきた。

法律相談では顧客のプライバシーや営業秘密を守ることが大前提だ。セキュリティーの穴が指摘されたツールは、改善されるまで使用を控えて安全性を担保。石田弁護士は「書類や端末の紛失リスクを考えると、移動を伴う対面相談より安全な面もある」と指摘する。

ただ、全てをオンライン化できるとは考えていない。交通事故や離婚調停の相談に来る個人客は対面相談でなければ不安だろうし、ビジネス関係の顧客も、裁判に踏み切る際などは意思疎通が重要になる。「弁護士が実際に会うことで何ができるか。オンライン化は対面の価値を捉え直すことにもつながる」と語る。

費用・時間のコストがかかる「紙の書類と対面」の文化は、少数の国民しか司法サービスに頼れない「2割司法問題」や、都市部に弁護士が集中する「偏在問題」を温存してきた面がある。対面とオンラインの最適解を模索することで、司法はより身近なものになるかもしれない。(蓑輪星使)

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