冷え込むマンション販売、パワーカップル収入減が影響

2020/6/27 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

緊急事態宣言は解除されたものの先行きが見通せない新型コロナウイルスの感染拡大。住宅市場にも相当規模の影響を与えることは間違いない。ただ、具体的なインパクトはいまだ不透明だ。今後の住宅市場の見通しを不動産アナリストの岡本郁雄氏に聞いた。

――新型コロナウイルスは住宅市場の大きなブレーキとなりました。

「4月以降、大半の取引が止まった。1年間のなかで最も大切な新築マンションの売り時であるゴールデンウイーク中もモデルルームが閉鎖となり機会損失ははかりしれない」

「影響の程度はまだ分からないが、確実なのは不動産経済研究所が当初、予測していた2020年の首都圏での新築マンション供給戸数である3万2000戸は無理だということだ」

――中古マンションも新築同様に苦戦しています。

「東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の調査では4月の首都圏の中古マンションの成約件数は前年同月比52.6%減の1629件。減少幅は1995年3月(35.2%減)を上回る過去最大だった。新築と同じようにコロナの影響は大きい」

「理由は『買い渋り』。総需要が大きく減退している。そしてもう1つは『売り渋り』だ。『当面は様子見』という人が多い」

――これまで住宅市場をけん引してきた層に異変が起きているのでしょうか。

「1戸8000万~1億円以上の高額物件を購入してきた層にコロナウイルス感染拡大の影響が大きく出ている。大企業の『アッパーサラリーマン』や中小企業の社長クラス、それに夫婦共働きで世帯年収が1000万~2000万円のパワーカップルが収入ダウンの危機にさらされている」

――新築マンションの価格は下がりますか。

三菱地所など大手不動産会社の2020年3月期の決算を見ると過去最高益を更新したところが多い。当面は値下げして処分する必要はないだろう」

「ただ、新規物件は値下がりする可能性が高い。これまでホテルが高値で用地を仕入れていたため、マンションは用地の取得が難しかった。コロナの影響でインバウンド(訪日外国人)が減退、ホテルは強気な仕入れができない。競合が減る分、マンション用地の取得価格が低下、販売価格も低くなる可能性は高い」

〈記者の目〉
■首都圏2万5000戸割れも
 東京五輪の建設需要が一巡する2020年は攻勢の年だったはず。新型コロナウイルス感染拡大でそれが難しくなった。
 理由は需要の減退以上に、供給側にある。6月に入り、不動産会社のモデルルームは再開しつつあるが、どこもリモート接客や販売員の数を絞り込んだうえでの接客となっており積極的な動きはとりにくい。
 物件を絞り込んだうえでの供給となり首都圏では3万戸はもちろん2万5000戸割れも視野に入りつつある。
 ただ、供給を厳選する分、契約率、価格が劇的に低下することはないだろう。(前野雅弥)
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